今後さらに見込まれる合同会社の活用法【弁護士×MBAが解説】

起業

合同会社の設立が増加傾向

近年、日本における合同会社の設立件数は着実に増加しています。法務省の統計を見ても、株式会社に比べればまだ数は少ないものの、年々合同会社の比率が高まっていることがわかります。特に2010年代以降は、スタートアップや個人事業主から法人化を目指す層を中心に、合同会社を選ぶ動きが顕著になってきました。
合同会社は、比較的新しい会社形態です。日本で導入されたのは2006年の会社法改正以降ですが、その利便性から着実に浸透しつつあります。株式会社と異なる点は多くありますが、いずれも設立者や運営者にとって「扱いやすい」という実感を与えるものが多く、結果的に利用者を増やす要因になっています。
筆者自身も、今年に入って合同会社を設立しました。実際に運営してみると、その柔軟さや管理のしやすさは実感として大きく、以前の株式会社設立・運営に比べて負担が少ないと感じています。もちろん、事業の目的や規模によっては株式会社の方が適している場面もありますが、現在の起業環境においては合同会社の特性が強く求められているといえるでしょう。
今後の社会において、働き方や起業のスタイルはさらに多様化していきます。そのなかで、合同会社という法人形態は「新しい挑戦を後押しする仕組み」としてますます注目されるはずです。そこで本稿では、合同会社のメリットや活用方法について具体的に見ていくことといたします。

手続が簡易で安い

合同会社の最大の魅力のひとつは、設立手続が非常に簡易であることです。株式会社を設立する際には、定款の認証を公証役場で受けたり、資本金の払い込みを銀行で確認したりと、複数の手続きを経る必要があります。一方、合同会社の場合は定款認証が不要であり、オンラインで必要書類を作成・提出すれば設立が可能です。この点は起業家や個人事業主にとって大きな利点となります。
また、費用の面でも負担が軽いことが特徴です。株式会社の設立では、定款認証のために5万円程度、登録免許税で15万円以上が必要ですが、合同会社は登録免許税が6万円で済みます。その他の実費を考慮しても、全体として株式会社よりもはるかに低コストで法人化できるのです。
筆者が合同会社を設立した際には、ほとんどの手続きを自宅のパソコンで完結できました。マイナンバーカードを使った電子署名で定款を作成し、法務局にオンライン申請を行った結果、外出したのは設立後に登記簿謄本(全部事項証明書)を取りに行くときくらいでした。この経験からも、手続の簡便さが合同会社の魅力であることを実感しています。
こうした簡易さは、個人事業主が法人成りをする際に特に有効です。法人化することで社会的信用や取引上の利点を得つつも、コストや手続の煩雑さで挫折する人は少なくありません。その点、合同会社はスムーズな移行を可能にする仕組みとして、多くの起業家に選ばれています。

意思決定がスムーズに行える

合同会社のもう一つの大きな特長は、意思決定のスピードです。株式会社では株主総会や取締役会の設置が原則であり、重要な事項についてはこれらの会議を経なければなりません。しかし合同会社にはこのような制度上の制約がなく、社員(出資者兼経営者)の合意によって直接的に意思決定を行うことができます
この仕組みは、経営の柔軟性を飛躍的に高めます。市場環境の変化に素早く対応するためには、従来のように年に一度の株主総会で決議するのでは遅すぎます。合同会社であれば、必要なときに迅速に判断し、行動へと移すことが可能です。
さらに、日本の会社法が持つ形式的な手続きを回避できる点も、合同会社の魅力です。例えば、外国の先進的な企業運営手法をそのまま取り入れることも比較的容易です。この柔軟な制度設計により、日本に進出する外資系企業の多くが合同会社を選択する傾向があります。実際、amazonやgoogleといったアメリカの巨大企業が日本法人を合同会社の形で設立しているのは、こうした意思決定の自由度の高さが背景にあります。
このように、合同会社は小規模な事業者だけでなく、大企業にとっても有効な法人形態となっており、幅広い規模での活用が可能であるといえます。

信用は低い

もっとも、合同会社にはデメリットも存在します。その代表例が、社会的な信用度の低さです。取引先や金融機関から見たとき、株式会社に比べて合同会社はまだ信頼を得にくい側面があります。その理由のひとつは、合同会社の設立が比較的容易であり、資本金も最低限の金額で済んでしまうことです。つまり、資本力や内部統制の点で疑問を持たれる可能性があります。
また、合同会社はまだ歴史が浅いため、社会全体における認知度も株式会社ほど高くありません。そのため、取引先から「合同会社というのは大丈夫なのか」と警戒されることもあります。
しかし、スタートアップ企業は株式会社であっても、設立当初から高い信用を得られるわけではありません。どのような形態であれ、地道に実績を積み、誠実な取引を重ねることで信頼を獲得していく必要があります。その意味では、合同会社だから特別に不利というわけではなく、信用獲得のプロセスはどの法人形態でも避けられない課題といえるでしょう。
つまり、信用力の低さはあくまで「相対的なもの」にすぎません。法人形態が合同会社であることが決定的にマイナスに働くのではなく、経営者の姿勢や実績によって十分に補うことができますし、どのような企業でもこの努力は欠かせません。

今後さらに増加する見通し

こうした特徴を踏まえると、合同会社の活用は今後さらに広がっていくことが予想されます。近年の起業トレンドとして、「最初は小さく始めてみよう」という考え方が広まっています。大規模な資金調達をせずとも、必要最低限のリソースを集めて事業をスタートさせるスタイルが主流になりつつあり、その際に合同会社は非常に適した法人形態といえます。
起業家にとっては、コストが低く、意思決定もスピーディーに行える合同会社は使い勝手が良く、試行錯誤を重ねながら事業を成長させるのに適しています。また、成長期の企業にとっても、組織の柔軟性を維持したまま拡大できる点が大きな魅力です。株式会社では組織の硬直化や意思決定の遅さが課題となる場合がありますが、合同会社であればその心配は少なく、成長の勢いを保つことが可能です。
さらに、外国企業の日本進出において合同会社が選ばれるケースは今後も増えると見込まれます。コストや柔軟性といった利点が評価され、外資系企業が合同会社を通じて日本市場に参入することは、国内のビジネス環境に大きな影響を与えるでしょう。
このように、合同会社は国内外を問わず多様な活用の余地を持つ法人形態であり、今後の増加は必然的な流れといえるのです。

まとめ

合同会社は、日本においてまだ歴史の浅い会社形態ですが、その利便性から年々利用者が増えています。設立手続の簡便さや費用の低さ、意思決定のスピードと柔軟性といったメリットは、起業家や企業にとって非常に大きな魅力です。一方で、社会的信用度の低さといった課題もありますが、これは地道な実績の積み重ねによって克服可能なものです。
今後の社会では、少人数で効率的に事業を立ち上げるスタイルや、海外企業の日本進出といった場面が増えることが予想されます。そのなかで合同会社は、時代のニーズに合致した法人形態として、ますます注目されていくことでしょう。
当研究所では、法人化手続やその戦略設計を含め、起業のあらゆるフェーズの業務をサポートさせていただきます。ちょっとしたこと、何がまずいかわからないことでも全然かまいませんので、下記よりお気軽にご相談ください。

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