起業時の資金調達どこまで必要?【公認会計士×中小企業診断士が解説】

起業

開業時に苦労したこと不動の1位は資金繰り・資金調達

起業を考える際、多くの人が最初に想像する課題は「お客様をどう集めるか」や「商品やサービスの魅力作り」といったものかもしれません。しかし、実際に起業してみると、最も大きな壁として立ちはだかるのは「資金繰り」や「資金調達」であるという声が非常に多いです。事業を始めるには、登記費用や設備費用、広告宣伝費などの初期費用が必要なうえ、売上が立つまでの間も日々の支出が続いていきます。銀行口座の残高が目減りしていく中で、何を優先し、何を我慢すべきか、冷静に判断しなければなりません。
資金の確保は、開業前から始まっているべきプロセスです。自己資金をどこまで準備するか、金融機関から借入を行うか、場合によっては補助金や助成金の活用も視野に入れる必要があります。ただし、闇雲に資金を集めれば良いわけではなく、どこまでの金額が必要で、どのタイミングでどれだけの出費が想定されるか、詳細なシミュレーションが欠かせません。そこで本稿では、起業時の資金に関して、どのような視点で準備すれば良いかを具体的に掘り下げていきます。

自分の給料を何か月我慢できるか

起業初期において、最も現実的に検討しなければならないのが「経営者自身の収入をどうするか」という点です。立ち上げ直後の事業は、当然ながら売上が安定しません。取引先からの入金が遅れたり、当初見込んでいた案件がキャンセルになったりすることも珍しくありません。また、広告費や突発的な設備トラブルなど、予想外の出費も起こり得ます。
こうした中で最初に削減すべきは、経営者自身の給与です。社員に給料が払えなくなるのは信用問題に発展しますが、自分自身の報酬は柔軟に対応できます。そのためには、起業前の段階で「何か月無収入でも耐えられるか」を明確にしておくことが重要です。例えば半年間は無収入でも生活が維持できるだけの貯蓄があるかどうか、家族の理解が得られるかといった点を事前に確認しておくべきです。
なお、「いざとなれば借金すればいい」といった発想は危険です。焦って借入をすると条件の悪い契約を結んでしまう恐れもあります。あらかじめ無収入期間を想定し、準備を整えておくことが、長期的に見て成功への土台となります。

人や設備をどこまで揃えるか

起業時には、「最初から完璧な体制を整えたい」と考えがちですが、それは非常に危険な思考です。人材を多く採用し、立派なオフィスや最新の設備を揃えると、見た目は立派でも、すぐに資金が枯渇してしまいます。特に固定費の増加は資金繰りを一気に圧迫するため、初期段階では「必要最低限」に抑えるのが鉄則です。
まず人材に関しては、すべてを社員で固めるのではなく、外注や業務委託を活用する方法も検討しましょう。一定の業務量を超えるまでは、社員を雇わずに回せる部分も多くあります。設備についても、購入ではなくリースやレンタルを選ぶことで初期費用を大きく抑えられます。
また、オフィスも自宅やシェアオフィスで代用できるかを検討してみてください。立派なオフィスに固執する必要はありません。とにかく最初の数か月は、売上がほぼない状態でも運営を続けられるような「軽い体制」を構築することが重要です

運転資金の計算と確保

起業には初期投資だけでなく、事業を継続するための「運転資金」も不可欠です。運転資金とは、仕入れ代金、家賃、光熱費、人件費など、毎月かかる固定費を含む日々の事業運営に必要な資金を指します。売上が安定するまでの間、この資金が不足すると事業は一気に頓挫してしまいます。
特に注意すべきは、開業後しばらくしてから「思っていたよりも資金が足りない」と気づいて借入に走るケースです。開業後の融資は審査が厳しくなりがちで、タイミングを逃せば手遅れになることもあります。だからこそ、開業前に綿密な事業計画書を作成し、最低でも半年分の運転資金を確保しておくべきです
また、予期せぬトラブルへの備えとして、予備費も含めて余裕を持った資金計画が必要です。資金不足を経営者の個人資産から補うことは、一時的には有効かもしれませんが、長期的にはリスクの高い対応です。資金面での焦りをなくすためにも、余裕ある運転資金の確保は起業前の最重要課題の一つといえるでしょう。

専門家は頼ろう

起業初期には、法律・税務・会計などの専門知識が問われる場面が多く訪れます。これらをすべて自分で勉強しようとすると、時間と労力が非常にかかり、肝心の事業運営に支障が出かねません。専門分野は、迷わずプロに任せることが最善の選択です。
例えば税務申告を誤ると、後から追徴課税を受けることもありますし、助成金の申請書類に不備があるとチャンスを逃すこともあります。弁護士や税理士、中小企業診断士などの専門家に相談すれば、不要なトラブルを回避できるうえ、長期的にはコスト削減にもつながります。
もちろん、高額な顧問契約を結ぶ必要はありません。スポットでの相談や、月額数千円の契約で対応してくれる専門家も多く存在します。自分で全てを抱え込むのではなく、どこまで外部に委託すべきかを見極めることが、持続可能な起業を支える鍵となります。

まとめ

起業において最も重要な準備のひとつが「資金計画」です。開業前から始まる資金調達は、事業の成否を左右すると言っても過言ではありません。経営者自身の生活資金の確保、人員や設備の配置の最小化、運転資金の事前確保、そして専門家の活用といった一連の要素を、事前に冷静に見極め、計画的に準備することが大切です。
「どれだけ稼ぐか」よりも、「どれだけ使わずに済むか」「どれだけの備えがあるか」という視点を持つことが、持続的な事業運営につながります。資金繰りの失敗は、どんなに優れたビジネスモデルでも崩壊させてしまう可能性があります。現実的な目線での資金計画と、適切な専門家の助力を得ながら、無理のないスタートアップを目指しましょう
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