新規事業創出成功のカギはオリジナリティではなくその真逆【MBA×中小企業診断士が解説】

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新規事業創出は楽しいが難しい

新しく会社を創業したり、企業内で新規事業部門を立ち上げたりする際、最初に行われるのが事業アイディアのブレインストーミングです。会議室であれカフェであれ、仲間たちと新しいビジネスの種について意見を出し合う時間は非常にワクワクするものです。「これなら面白そうだ」「このアイディアなら世の中にウケるのではないか」と盛り上がり、あれこれと夢が広がる瞬間こそ、新規事業立ち上げの醍醐味と言えるでしょう。
しかし、その場では「いける!」と思ったアイディアも、いざ事業計画として具体化しようとすると、多くの人が壁にぶつかります。実際に商品化するにはどんな工程が必要か、どのように顧客を獲得するか、どのように収益化するかといった現実的な課題が次々に浮かび上がり、夢だけで突き進むわけにはいかなくなります。そこで重要になるのが「どうすれば新規事業が実際に売れるビジネスとして成り立つか」という視点です。そこで本稿では、特に「オリジナリティ」にこだわりすぎることが新規事業成功を遠ざけるという観点から、新規事業創出の成功法則を解説していきます。

売れているアーティストやYoutubeチャンネルの考察

新規事業を考える際、多くの方が「オリジナリティが重要だ」と信じています。確かに、最近売れているアーティストやYouTuberを見てみると、強烈な個性が際立っている場合が多く、世の中にない新しいスタイルが受け入れられて成功しているように見えます。そのため、「新規事業もオリジナリティを前面に出すべきだ」と考えるのは自然な発想です。
しかし、ここで重要なのは「彼らが最初から個性的だったのか」という点です。多くの成功したアーティストやYouTuberの初期作品を見てみると、意外にも「基本に忠実」な内容が多いことに気づきます。音楽であれば王道のメロディラインや歌詞構成に従い、YouTube動画でも流行しているフォーマットや企画を真似ているケースが大半です。つまり、彼らはまず「売れる形」に自分を合わせ、世の中に認知されることで基盤を作った後、徐々に独自性を発揮していったのです。
新規事業も同様で、最初から奇抜な発想や独自路線に走るのではなく、まずは既存の成功ビジネスモデルを徹底的にトレースすることが重要です。「なぜそのモデルが売れているのか」を分析し、その本質を理解したうえで、自社でも同じように再現する力が求められます。

個性は周囲に受け入れられるのに時間を要する

たとえ独自性の高い優れたアイディアであっても、それが世の中に受け入れられるまでには相当な時間がかかるものです。既に知名度と信頼を獲得している有名なアーティストやYouTuberが新しい挑戦をすれば、瞬く間に話題となり受け入れられるかもしれません。しかし、無名の新人が同じことをしても、ほとんどの場合は誰にも見向きされずに埋もれてしまいます。
ビジネスの世界も全く同じです。どんなに革新的で魅力的な商品やサービスを開発しても、それを「誰が作ったのか」が認知されていなければ、顧客の興味を引くことは難しいでしょう。特に新規事業においては、企業としての信頼、ブランド力、過去の実績が乏しいため、個性を前面に押し出しても受け入れられるまでには時間がかかります。
そこでまず必要なのが、世の中に認知されやすく、安心して受け入れられる「無難なビジネスモデル」での実績作りです。既に市場で受け入れられている商品やサービスを模倣し、そこに自社ならではの工夫をわずかに加えることで顧客の信頼を獲得し、徐々にブランドの知名度を上げていく。この地道なプロセスを経てこそ、個性的な挑戦が真の意味で世間に受け入れられる準備が整います。

認知され評価されるためには資金も必要

「良い商品なら自然に売れる」という考え方は幻想です。現代においては、どれだけ優れた商品でも、それを知ってもらうための広告や販促活動がなければ市場で埋もれてしまいます。そして広告や販促を継続的に行うには、当然ながら資金が必要になります。特に新規事業を立ち上げたばかりの企業にとって、この「資金調達」は大きなハードルとなります。
そこで現実的な戦略として有効なのが、「まずは売れているビジネスモデルを徹底的に模倣し、そこで得た収益を新しい挑戦のための資金に充てる」という方法です。売れることが証明されているビジネスモデルを忠実に再現すれば、少なくとも一定の売上が見込めるため、その収益を元に広告費や設備投資に回すことができます。こうした基盤が整った上で、ようやく自社独自のオリジナリティを発揮するための環境が整います。
つまり、オリジナリティを追求するためにも、そのオリジナリティを知ってもらい、定着させるための資金力を確保することが不可欠です。そしてそのための最短ルートが、「既存の成功事例の模倣による資金獲得」であることを認識しなければなりません。

新規事業は成功事例の模倣に始まり少しずつ独自性を出して改変していく

新規事業のブレインストーミングでは、どうしても斬新で面白いアイディアに飛びつきがちです。確かに、周囲を驚かせるような斬新なアイディアは魅力的ですが、それがそのままビジネスとして成功するとは限りません。むしろ、最初は成功事例をそのまま真似るくらいの気持ちで始める方が成功確率は格段に高くなります。
模倣といっても単なるコピーではなく、「なぜそれが売れているのか」を分析し、その成功要因をしっかりと理解したうえで、自社に最適化した形で再現することが重要です。そして、事業が軌道に乗り、顧客からの信頼とブランドの知名度が上がるにつれて、徐々に独自のアレンジや新しいアイディアを盛り込んでいくのが望ましいです。こうした段階的な独自性の発揮こそが、結果的に新規事業を大きな成功へと導きます。
いきなりオリジナリティを前面に押し出して勝負するのではなく、まずは「型にハマる」ことから始め、着実に地盤を固めることが、最終的に自社らしいユニークな価値を生み出す最善の道です。

まとめ

新規事業創出において、オリジナリティにこだわることは一見正しいように思えます。しかし、実際に成功するためには「まずは売れているビジネスモデルを模倣し、そこから徐々に独自性を出していく」というプロセスが不可欠です。無名の状態で個性を押し出しても受け入れられるまでには時間と資金が必要であり、まずは信頼と認知度を得るための着実な事業展開が求められます。成功事例のトレースによって得た実績と資金を元に、次のステージでオリジナリティを発揮する。その順序を誤らないことこそが、新規事業成功への最短ルートなのです。
当研究所では、新規事業創出に関して全方位の支援サービスを提供しております。下記よりお気軽にご相談ください。

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