100円飲食物は買いやすかったが
ほんの数年前まで、スーパーやコンビニで100円の飲食物が簡単に買えました。100円ショップにも様々なワンコイン商品が並び、安かろう悪かろうでも使い捨てでどんどん活用できる商品がいろいろありました。
今、スーパーやコンビニで100円で購入できるのは小さなお菓子くらいで、ワンコインショップの大半の商品は100円ではありません。
これは円安や原料高が原因ですが、本稿ではこうした物価高の中で原価を抑えられる商品の販売戦略を再考します。
おにぎり・パン・コーヒー。100円では提供不能
スーパーやコンビニに行けば、100円(税別)で、白おにぎりやシンプルなパン、挽き立てコーヒーが買えたのは数年前の話。もはや白おにぎりもパンもコーヒーも100円では購入できません。
おにぎりやパンは原料高に加えて廃棄損も原価に計上しなければならず、コーヒーはマシンのメンテナンスや買い換えにかなりコストを要するため、もはや100円ではまったく利益の出ない商品となっているのが実情です。
カップラーメンは原料高でも100円商品が健在
カップラーメンも、原材料である小麦価格は上昇していますが、定価は100円超えでも、スーパーでは常時、どこかのブランドが100円に値引きして販売しています。
これは、カップラーメンは100円でも薄利は出る事を指し、常時100円ではまとまった利益にならないが、たまに100円に値引きして販売促進をすることは、広告の一環も兼ねて有意義なのでしょう。
日清食品が値上げを要求。その背景は?
先月、日清食品が他の同業者に対してカップラーメンの価格引き上げの圧力をかけ、公正取引委員会から警告を受けました。
コロナ禍の巣ごもり期に大変重宝したカップラーメンですが、その頃からは需要は減っているものの、パンやおにぎり1つが100円で買えない中、1つで昼食になるカップラーメンはかなりコスパが良く、値上げして利益をあげたいという日清食品の思惑は至極正当です。
値上げして利益を上げ、その利益を新商品開発や自社ブランディング向上につなげることにより、さらなる食品業界のシェアを獲得し、増益につなげることができます。
高く売れるのに安く売りたい背景
こうした日清食品の意図に反し、他の同業者が値上げに消極的であるのは、価格があがることにより、ブランド力がシェアに影響する可能性が高まり、日清有利な市場になってしまうことを懸念したもので、小売店が消極的であるのは目玉商品たり得るカップラーメンの安売りを起点とした追加購買や、他の日用品にカップラーメンの追加購買を期待するためでしょう。
まとめ
価格戦略は複雑で、単に自社の商品原価と照らし合わせるだけでは最適解が出ないおそれもあります。当研究所では、弁護士・公認会計士・MBAがルールの範囲内で、無形効果も含めて、企業価値を最大限に伸ばす価格戦略をともに考えます。下記よりお気軽にご相談ください。
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