ケース別:賃上げのパターンと見破り方

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80%以上の企業が賃上げを表明

物価高に悩まされる昨今、賃上げを表明する企業が相次ぎ、実に80%以上に及ぶ企業が(割合の多寡はともかく)賃上げを表明しています。

これは決して、世間一般の賃金が概ね一律で上がることを意味するわけではありません。本稿では賃上げの実態や見抜き方を整理します。

人材確保のための賃上げ

企業が賃上げを行う目的はずばり、人材確保です。ライバル企業が賃上げをすれば、当然優秀な人材はそちらに流れてしまいます。従業員は誰でも良いわけではなく、できる限り優秀で、できる限り手間のかからない人が良いに決まっています。

昨年、岸田首相が賃上げを強く経済界に要求し始め、ちらほら手をあげる企業が現れ、今まさにその流れに「追随しないとまずい」と、危機感を持った企業が増えてきたわけです。

価格転嫁の成果の還元

賃上げするにも原資が必要です。ここで大手企業は物価高に併せておおむね値上げを済ませ、値上げに伴って増えた収入を賃上げの原資にしています

しかし、中小企業はなかなかこうした値上げができません。原資がないにも関わらず賃上げをするのは自らの首を絞めるおそれがあり、仮に賃上げをしてもわずかな割合のアリバイ作り程度の可能性が高そうです。

功績をあげた一部だけの賃上げ

企業が「賃上げしました」と公言しても鵜呑みにはできません。直前の業績の良かった部門のみ賃上げしてそのほかは据え置きというパターンも多いです。

このように部署別や成績別で社内差別を行うのは、社内で不満や歪んだキャリアプランニングを生み出すおそれがあり、あまりお勧めできない手法です。

副業容認による実質賃上げ

賃上げは支払い給与を増やすことばかりではありません。従業員の拘束時間を減らした上で、副業を容認することで実質的な賃上げを果たすケースもあります。

このパターンを使うのは若手を多く雇用したい企業で、若い間はフルタイムで頑張ってもらい、一定の年齢以降は、執務時間と支払給与をおさえながら、使える人材だけ残していこうとする意図があります。

まとめ

賃上げを実際に行うには相応の用意が必要で、「賃上げをしている」と言っているだけで実態がほとんどないケースや、従業員の待遇が逆に悪くなったケースも多々あります。

当研究所では、企業の賃上げに向けた準備や、従業員からの賃金に対する不満に対する広い範囲にわたるサポート業務を提供しております。下記よりお気軽にご相談ください。

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