カタログスペックにこだわらない社会だからこそ盲点になりがちなポイント
婚活の世界において、かつては年収や学歴、職業といった「カタログスペック」と呼ばれる表面的な条件が重視される傾向が強くありました。しかし、近年はその傾向が大きく変化しつつあります。とくに30代以降の婚活においては、スペックを重視しすぎると条件に縛られて出会いの幅が狭まり、実際の相性や価値観が見えにくくなるという反省が広がっています。そのため、現在の婚活市場では「実際に会って感じるフィーリング」や「話してみたときの雰囲気」「生活感覚の近さ」などが重視され、カタログ上の条件よりも人柄や相性が重んじられる傾向があります。
さらに、出会いの場も大きく変わりました。以前は友人や職場を通じた紹介、結婚相談所での対面面談が主流でしたが、今では婚活アプリやマッチングサイトといったオンライン上での出会いが圧倒的に増えています。便利ではあるものの、こうした出会い方は相手の背景を深く確認する機会が減少し、プロフィールや会話の印象だけで関係を進めてしまう危険が高まります。
このように、現代の婚活は「カタログに頼らない」という一見前向きな風潮の裏側で、相手の基本的な身分関係の確認が疎かになりがちです。特に戸籍の内容は、結婚生活を築くうえで避けて通れない情報を含んでいますが、その確認を軽視してしまう人は少なくありません。実際には、婚活サイトで出会った相手が実は既婚者だったというトラブルも多発しており、後から重大な問題に気づくケースが後を絶ちません。
つまり、カタログスペックを軽視すること自体は悪いことではないものの、その姿勢が相手の身分確認を怠ることに直結してはいけません。外見や性格が良くても、相手が婚姻中であったり、過去に複雑な婚姻歴や養子縁組があることを知らずに結婚生活を始めてしまえば、想像以上に大きなトラブルに巻き込まれる可能性があります。そこで本稿では、婚活においてはフィーリングを大切にしつつも、最低限、戸籍の内容は必ず確認するという意識が重要になることをいくつかのケースを基に解説します。
現在既婚者であるリスク
婚活において最も大きなトラブルのひとつが、相手が「実は既婚者だった」というケースです。中には、離婚を予定しているもののまだ手続きが終わっていない人や、離婚協議中であると説明して交際を進めようとする人も存在します。しかし、法律的には離婚が成立していない限り、その人は既婚者であり、独身ではありません。
ここで問題になるのは、離婚協議というものが必ずしも短期間で終わるものではない点です。双方が円満に合意すれば数か月で成立する場合もありますが、財産分与や親権、養育費を巡って対立が起きると、数年単位で話し合いや裁判が続くことも珍しくありません。そのような状況にある人と交際を始めると、結果的に不倫関係と見なされる危険が高まります。実際に肉体関係や同居関係が発生すれば、法的に不貞と認定され、慰謝料請求を受けるリスクが発生します。
婚活に参加する人の多くは真剣に結婚を考えていますが、主催者側のチェックが必ずしも万全ではありません。特にオンライン婚活の場では、参加者の独身証明や戸籍確認が形式的に行われない場合もあり、相手の自己申告に頼る部分が大きいのです。そのため、本人が「離婚予定だから問題ない」と言ったとしても、安易に信じるべきではありません。
また、既婚者が婚活に現れる背景には、すでに夫婦関係が破綻している人が新たな人生を模索しているケースもありますが、それを相手がどの程度正直に説明しているかは別問題です。相手の誠実さを見極めるためにも、戸籍謄本などの正式な書類で婚姻状況を確認することは欠かせません。
婚活は新しい人生の出発点であるべきなのに、最初から法的なリスクを背負ってしまうのは避けたいところです。独身であることは結婚の大前提であり、そこを曖昧にしたまま進めるのは危険すぎる行為だといえるでしょう。
過去の結婚歴
現在は独身であっても、過去に結婚した経験があるかどうかは大切な情報です。結婚と離婚の経歴は、相手の価値観や人生観を知る上で大きな判断材料になるからです。たとえば「相性が合わなかった」といった抽象的な理由ではなく、金銭感覚の違い、義両親との関係、生活習慣の不一致など具体的な事情があったのであれば、今後の結婚生活でも同じ課題が生じる可能性があります。
さらに、過去の結婚相手との間に子どもがいた場合、その後も養育費の支払いや面会交流などを通じて一定の関係が続いていることがあります。このような事情は、将来的に家庭生活へ影響を及ぼす場合があります。経済的な負担だけでなく、心理的な面でも配偶者が元の家族との関わりを持ち続けることに抵抗を感じる人もいるでしょう。
また、離婚歴が複数回ある人の場合、結婚生活を維持するうえで根本的な問題を抱えている可能性があります。もちろん、一度や二度の離婚経験を持つ人が全て不誠実であるとは限りません。しかし、繰り返し離婚をしている人に対しては、「結婚に対する責任感や忍耐力が弱いのではないか」と考えるのが自然です。
過去の結婚歴を知ることは、単なる好奇心ではなく、自分の人生設計に関わる重要な確認作業です。婚姻関係は法的にも社会的にも重大な契約であり、相手の過去の経緯を理解した上で判断しなければ、思わぬ落とし穴にはまりかねません。戸籍は過去の婚姻歴を確認できる唯一の公的資料であるため、結婚を真剣に考える段階では必ず目を通すべきです。
前の夫または妻との子の存在
結婚を考える上で特に大きな問題となるのが、相手に前の配偶者との子どもがいるかどうかです。子どもが存在する場合、その子が自分と生活を共にする「連れ子」になるかどうかは家庭環境を大きく左右します。血のつながらない子どもとの関係は努力次第で築けるものの、現実にはさまざまな葛藤が生じるものです。
また、たとえ同居しない場合でも、相手がその子どもと交流を続けていることは珍しくありません。誕生日や進学といった節目には経済的援助や時間的な関わりが必要になり、そのたびに新しい家庭生活に影響が及びます。特に子どもが未成年である場合、養育費や教育費の支払いが長期間続くこともあります。
さらに重要なのは、相続における問題です。法律上、前の配偶者との子どもも親の財産を相続する権利を持っています。仮に新しい家庭で子どもが生まれたとしても、遺産分割の際には前婚の子どもと同じ権利を主張できます。場合によっては、自分の子どもが不利な立場に置かれる可能性もあり、生前の相続対策が不可欠となります。
このように、相手に前婚の子がいる場合は、経済的・心理的な負担に加えて法的な課題も生じます。結婚生活を築く前に、その存在をしっかり確認し、どのように関係を持っていくのかを話し合う必要があります。戸籍を確認すれば、子どもの有無や親子関係が明確に記載されているため、安心材料にもなりますし、早めの備えにもつながります。
養子縁組関係
結婚を考えるとき、多くの人は相手の実の両親や兄弟姉妹に挨拶をすることを想定します。しかし、養子縁組関係にある人物がいる場合、その存在に気づかないまま結婚を進めてしまうことがあります。養親や養子との関係は戸籍を確認しなければ分からないケースが多いです。
養子縁組といっても、子どもを迎え入れる場合だけでなく、大人同士の縁組もあります。たとえば事業承継のために養子に入ったり、血縁のない者同士が戸籍上の親子関係を結ぶこともあります。これ自体は違法でも不自然でもありませんが、養子縁組の回数が極端に多い人や、過去に問題のある人物と縁組している人の場合、その背景に特殊な事情が隠れていることがあります。場合によっては犯罪や金銭トラブルに巻き込まれる危険すら否定できません。
また、結婚相手が養子縁組している場合、自分の知らない親族との関係が法的に発生する可能性があります。冠婚葬祭や相続の場面でその関係が表面化することもあり、事前に知らなければ大きな驚きや不信感につながりかねません。
現代は「カタログスペックに縛られない」ことが美徳のように語られますが、最低限の法的な身分関係を確認することは不可欠です。養子縁組の有無やその背景は、戸籍を見なければ把握できません。結婚相手の人柄や価値観だけで判断せず、公的な書類を通して冷静に確認することが、安定した結婚生活を築くために必要です。
まとめ
婚活の現場では、スペックよりもフィーリングが重視される時代になりました。これは決して悪い流れではありませんが、その一方で、相手の身分関係を軽視してしまう危険が潜んでいます。既婚者との交際は法的リスクを伴い、過去の婚姻歴や子どもの有無は家庭生活に直結します。さらに養子縁組など、戸籍にしか記載されない重要な事実も存在します。
結婚は人生を大きく左右する出来事です。そのため、相手の魅力や性格だけで判断するのではなく、戸籍の内容という公的で客観的な情報を確認することが必要不可欠です。相手に不信感を持つためではなく、互いの未来を守るための確認作業と捉えるべきでしょう。
戸籍を確認することで、余計な不安や誤解を防ぎ、安心して結婚生活を始められます。カタログスペックにこだわらない時代だからこそ、戸籍の確認を軽んじてはいけません。自分と相手の人生を守るために、冷静で客観的な視点を持ち続けることが大切です。
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