コーヒー紅茶だけでなく緑茶などを提供するカフェが増加傾向
従来、カフェといえばコーヒーや紅茶などの洋風の飲み物を提供する場として知られてきました。実際、カフェチェーンの多くがエスプレッソやカプチーノ、アールグレイティーなどを看板商品に据えており、「カフェ=コーヒー」のイメージは根強いものでした。しかし近年、緑茶やほうじ茶、抹茶など、いわゆる「日本のお茶」を主力商品とするカフェが都市部を中心に増加しています。これらのお茶カフェは、伝統的な茶道的な趣を取り入れた内装や、和菓子とのペアリングを意識したメニュー構成をとるなど、従来の洋風カフェとは異なる世界観を打ち出しているのが特徴です。
このようなカフェは、単にお茶を提供するだけでなく、店の設計や接客にも工夫を凝らしており、訪れる客に非日常的な癒しの時間を提供しています。インバウンド需要や日本文化の再評価も手伝い、外国人観光客を主なターゲットとした店舗も目立ち始めています。本稿では、こうした「お茶カフェ」の増加の背景や、その戦略的な狙いについて順を追って解説していきます。
カフェ市場の飽和と試行錯誤
現在、カフェ業界はまさに飽和状態にあるといっても過言ではありません。特に都市部においては、大手チェーンだけでなく、個人経営のこだわりカフェも多数存在しており、新たに出店してもよほどの工夫がない限り、埋没してしまう状況です。その結果、多くの店舗が生き残りをかけて、他店との差別化に必死になっています。
このような状況下で注目されているのが、「お茶」を軸に据えた新しいカフェの形です。お茶というと一見地味に思えるかもしれませんが、逆にコーヒー全盛の市場においてはその独自性が際立ち、個性的な店舗として評価されやすくなります。また、健康志向の高まりや、カフェイン摂取を控えたいというニーズにも応えることができる点で、戦略的に非常に有利です。
つまり、コーヒーや紅茶に代わる新たな選択肢を模索する中で日本茶を前面に打ち出すことで、カフェ業界に新しい風を吹き込もうという動きが各地で見られ、有効な手法だと考えられ始めています。
テーブル席の増加
お茶カフェの特徴の一つとして、店舗のレイアウトにおける「テーブル席の比重」が挙げられます。従来のカフェでは、一人客向けのカウンター席や小さなテーブルが中心でしたが、最近のお茶カフェでは二人以上のグループで利用できる広めのテーブル席が目立ちます。これは、単に飲み物を提供するだけでなく、「会話」や「くつろぎの時間」を重視する運営方針に基づいています。
お茶をゆったりと味わう文化は、コーヒーとは異なり「時間をかけること」に価値を置く傾向があります。そのため、複数人で訪れてじっくりと語り合う、あるいは和菓子をシェアしながら時間を過ごす、といった利用シーンが想定されているのです。また、観光客や家族連れにも対応できるよう、座敷席や半個室を備える店も増えており、使い勝手の良さが人気を集めています。
このようなレイアウトの工夫により、単なる飲食提供の場ではなく、「滞在型の憩いの空間」としての価値が高まっているのが現代のお茶カフェの特徴といえるでしょう。
高価格帯の商品を揃え客単価の増加を目指す
多くのお茶カフェでは、一般的なコーヒーよりも高価格帯の商品を提供しており、これによって客単価の増加を狙っています。たとえば、抹茶ラテ一杯が800円以上、玉露や上級煎茶になると1000円を超えるケースも珍しくありません。また、お茶と相性の良い和菓子セットを組み合わせることで、セット価格として1500円前後になることも多いです。
一見すると高く感じる価格設定ですが、「良質な茶葉を使っている」「伝統的な淹れ方で提供される」「非日常的な空間で楽しめる」など、価格に見合った価値が提供されており、顧客からの評価も上々です。特に30代以上の落ち着いた世代や外国人観光客にとっては、その価格がむしろ「安心感」や「特別感」を演出する材料となっています。
また、高価格帯の商品を展開することで、少ない客数でも一定の収益が見込める構造をつくることができ、店側としても安定した経営がしやすくなります。
値上げと品質向上を同時に実現
昨今の物価高騰は、飲食業界全体に大きな影響を及ぼしています。人件費や原材料費の上昇により、カフェも例外ではなく、価格の見直しが避けられない状況です。ただし、単純に価格だけを引き上げると、顧客の不満を招き、来店頻度の低下を引き起こしかねません。
その点、お茶カフェは値上げと同時に「品質向上」をしっかりと打ち出すことで、価格上昇に対する納得感を提供することに成功しています。具体的には、契約農園から仕入れた高級茶葉の使用や、スタッフによる本格的な淹れ方の研修、お茶に合うオリジナルスイーツの開発などです。こうした取り組みは、単に高く売るためではなく、「価格に見合う品質」を実現するためのものです。
結果的に、「少し高いけど、あのお茶をまた飲みたい」と思わせる体験を提供することが、リピーターの確保やクチコミの拡散につながっています。
まとめ
お茶を提供するカフェの増加は、単なる流行ではなく、成熟したカフェ市場の中で差別化を図るための戦略的な動きです。お茶という選択肢を軸に、複数名での利用に適した空間設計、高価格帯商品の展開、そして値上げと品質向上の両立を実現している点で、お茶カフェは新しい時代の飲食店モデルの一つといえるでしょう。今後も多様な価値観を持つ顧客に応える試行錯誤がばされていき、さらなる進化が期待されます。
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