起業をフランチャイズで始める意義とデメリット【弁護士×中小企業診断士が解説】

起業

フランチャイズは未経験者でも始めやすい起業体系

近年、起業に興味を持つ人は増え続けています。しかし実際に独立しようと考えたとき、資金の準備だけでなく、どの業種でどのように運営していくかを一から考えるのは大変です。中でも一度も経営をしたことがない方にとっては、資金を投じるだけでなく、知識や経験の不足という大きな壁にぶつかることになります。そんな中、フランチャイズは未経験者でも始めやすい起業体系として注目されています。
フランチャイズとは、既にビジネスモデルとして成功している本部(フランチャイザー)から、ブランドやノウハウを借りて事業を始める仕組みです。自分でゼロから仕組みを作らなくても、一定の仕組みが整っているので、初めての起業であっても取り組みやすいのです。この「未経験でも挑戦できる」という特徴は、会社員として長く働いてきたものの、いつかは独立したいと考えていた方にとって大きな安心材料になります。
最近では退職後のセカンドキャリアとして、また副業の延長線上で「まずはフランチャイジーとして開業してみよう」という人も増えています。もちろんフランチャイズには良い面だけではなく、後で触れるようにデメリットもあります。しかし、起業を考える多くの方にとって「いきなり個人でゼロから挑むのは不安だ」というハードルを下げてくれるのがフランチャイズの大きな魅力だといえるでしょう。
そこで本稿ではこうしたフランチャイズ起業のメリットと限界について解説いたします。

ノウハウがあるから軌道に乗りやすい

フランチャイズでの開業が未経験者に選ばれやすい理由の一つは、フランチャイザーが長年の事業運営で培ったノウハウを持っているからです。本部は成功例や失敗例を通じて、どのような手順で開業を進めればスムーズにスタートできるかを熟知しています。そのため加盟者は、まずは用意されたマニュアルに沿って進めるだけで、ある程度の売上を見込むことができます。
個人でゼロからお店を開業する場合、立地の選定、仕入れ先の確保、広告宣伝の方法、オペレーションの整備など、すべてを自分で試行錯誤しながら決めなければなりません。当然、最初の段階で失敗するリスクも高く、軌道に乗るまでに時間もコストも多くかかります。しかしフランチャイズでは、開業に必要な準備段階の支援を受けられるため、最初のスタートダッシュがスムーズです
また、開業後も研修やサポートがあるため、ノウハウの習得が早く、現場での問題解決力も身につきやすい点が特徴です。この「軌道に乗りやすい」というメリットは、起業経験のない方にとって大きな安心材料です。もちろん、運営が軌道に乗ってからは自分なりの工夫が必要になりますが、最初の段階で手探りを続ける必要がないのは大きな差といえるでしょう。

開業当初の集客に困らない

個人でお店を開く際に最も心配になるのは、集客ができるかどうかという点です。どんなに素敵なお店を作っても、お客様が来てくれなければ事業として成り立ちません。その点、フランチャイズにはすでに一定のブランド力と信用があります。
多店舗展開をしているフランチャイズチェーンの場合、名前を聞いただけで「このお店なら安心」というイメージをお客様が持ってくれることが多いです。結果として、開業当初から一定の集客を見込むことができ、宣伝に大きなお金をかけなくてもお客様が足を運んでくれます。
個人経営だと、地域に認知されるまでに時間がかかり、その間に資金繰りが苦しくなることもあります。しかしフランチャイズであれば、その心配が比較的少なく、開業当初から売上が立つ可能性が高いのです。この「知名度の恩恵を受けられる」という点は、特に集客に不安を持つ方にとって心強いポイントです。
もちろん、立地やオペレーションの工夫は必要ですが、全く無名のお店を一から知ってもらう大変さに比べると、はるかに集客のハードルは低いといえるでしょう。これが、多くの人がフランチャイズでの起業を検討する理由の一つでもあります。

売上や利益に対して一定割合を支払うため利益率が低い

フランチャイズには魅力的な面も多い一方で、当然ながら負担となる部分も存在します。その一つが、売上や利益の一部をロイヤリティとしてフランチャイザーに支払わなければならないという点です。
フランチャイズ契約では、加盟店はブランドの使用料やノウハウ提供料、広告宣伝費などの名目で、売上高や利益に一定の割合を乗じた金額を本部に支払うことが義務づけられています。これは、フランチャイズシステムを維持し、加盟店同士で一定のサービスレベルを保つために必要な仕組みです。しかし、これにより自分が頑張って売上を伸ばしても、その分一定割合は本部に差し引かれることになります。
結果として、同じ売上規模で比較すると、完全独立型の個人経営に比べて手元に残る利益は少なくなりがちです。もちろん、ノウハウやブランドを借りている以上、これは必要経費として割り切るべき部分ですが、利益率が低いという現実は経営計画に織り込んでおく必要があります。
「たくさん働いたのに思ったほど残らない」と感じないよう、開業前にロイヤリティの条件をよく確認し、自分の収支計画に無理がないかしっかり計算しておくことが大切です。

重要なノウハウは秘密情報として教えてもらえない

フランチャイズは、本部が長年かけて築き上げたビジネスモデルを基に成り立っています。当然、フランチャイザーは競争優位性の核となる重要なノウハウや戦略まですべてを公開するわけではありません。加盟者が知れるのは、あくまで事業を安定運営するために最低限必要な範囲です。
これは「いずれフランチャイズから独立して同じビジネスを自分のものとして展開したい」という方にとっては大きな障壁となります。フランチャイザーとしては、加盟店が将来ライバルになる可能性を考えると、最も核心的な情報は秘密にせざるを得ないのです。
そのため、フランチャイズを単なる「踏み台」として使い、いずれ独立開業で同じように稼ぐノウハウを得たいという期待は、多くの場合で叶いません。もし独立を最終目標にするのであれば、フランチャイズに頼るより、思い切って企業の中核人材として経営を学んだり、ベンチャー企業で幅広く実務を経験する方が、より確実にスキルを身につけられるでしょう。
もちろん、フランチャイズで学べる部分も多くありますが、その限界を認識した上で「何をどこで学ぶべきか」を計画的に考えることが大切です。

まとめ

フランチャイズは、未経験者にとって起業のハードルを下げてくれる有力な選択肢の一つです。ゼロから仕組みを作らずとも、すでに実績のあるビジネスモデルを活用できるため、開業当初の不安が少なく、軌道に乗せやすいという大きなメリットがあります。また、知名度を活かした集客面でも安心感があり、個人で一から築き上げる苦労と比べると、成功への近道といえるでしょう。
しかしその一方で、売上や利益から一定のロイヤリティを支払わなければならないため、利益率は低くなりがちです。さらに、フランチャイズ本部は全てのノウハウを公開してくれるわけではないため、将来的に同じビジネスモデルで完全独立を目指すのは難しいという現実もあります。
つまり、フランチャイズでの起業は、短期間での軌道乗せや安定経営を最優先に考える方には適していますが、将来的に独自のブランドで大きく展開していきたいという野心が強い方には、必ずしも最善とは言えないかもしれません。自分が何を目的に起業するのか、どこをゴールとするのかを改めて見つめ直し、フランチャイズを選ぶ意義とデメリットをしっかり理解した上で決断することが大切です。
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