無名の商品を軌道に乗せるための最短ルート
どれだけ魅力的な商品やサービスを提供していたとしても、顧客に存在を知られなければ売上にはつながりません。特に起業当初は、社名も商品名も無名であり、自然に人が集まるという状況にはなりにくいものです。そのため、まずは商品やサービスの存在を知ってもらうことが急務です。広告戦略は、こうした「認知獲得フェーズ」において最も効果的な手段の一つです。
もちろん、広告だけで売上が劇的に伸びるわけではありません。しかし、少なくとも「知られなければ買われない」という基本原則に照らせば、知ってもらう手段として広告に力を入れることは避けて通れません。販路開拓や営業活動と並行して広告を展開することで、商品が徐々に顧客の目に触れ、少しずつ信頼と興味を得ることが可能になります。
つまり、広告は「販売」ではなく「認知の入口」だと考えるべきです。起業当初はまだ商品の口コミもないため、広告を通じて最初の顧客接点をつくり、そこから興味や共感を広げていくという考え方が重要です。そこで本稿ではこうした起業当初の広告戦略について説明します。
予算管理はしっかりと
広告は効果が出るまでに時間を要することが多いため、「とにかく広告をたくさん出せば売れるだろう」と考えて予算を浪費してしまうケースは少なくありません。起業直後は資金的な余裕がないことが一般的であり、広告費の管理は慎重に行うべきです。事業全体の資金繰りに支障をきたしては本末転倒です。
そのためには、まず広告に使える予算を事業計画の中で明確に位置付けることが必要です。売上見込みに対して広告費を何%までと定めておくと、無理のない運用ができます。加えて、広告の効果測定も重要です。何にどれだけの費用を使い、どのくらいの反応や成果があったのかを記録し、分析することが後々の判断材料になります。
ただし、広告効果というのは一概に数値化しづらく、想定通りにいかないことも多いです。そのため、計画にはある程度の「余白」や「バッファ」を設けておくと安心です。事業が軌道に乗り始めたタイミングで広告予算を再調整するなど、柔軟性を持った運用が理想的です。
ターゲットの選定
広告戦略の根幹をなすのが、「誰に向けて広告を打つのか」というターゲットの明確化です。万人に向けた広告はコストも高く、反応率も低くなりがちです。起業当初は特にリソースが限られているため、広告の費用対効果を最大化するためには、ターゲットを可能な限り絞り込む必要があります。
たとえば、美容系商品の場合、20~30代の女性に集中して広告を出すのか、あるいはシニア向けに健康志向を前面に出すのかで、選ぶ媒体も伝えるメッセージもまったく異なります。ターゲットが明確になれば、その人たちが普段目にしている情報源や、心に刺さる言葉、ビジュアルなどを選定する指針が得られます。
ターゲットの選定にあたっては、市場調査や競合分析も有効です。どの層が既存市場に飽和しておらず、なおかつ自社の提供する価値に魅力を感じてくれる可能性があるのかを見極めることで、広告戦略の軸が定まります。迷ったときは、顧客一人を思い浮かべる「ペルソナ設計」を活用するのもよいでしょう。
最適な手法の確認
ターゲットが決まれば、次に重要なのは「どんな媒体や手法で広告を打つか」です。若年層にはスマートフォンを通じたSNS広告やYouTube広告など、デジタル広告が非常に有効です。一方で、50代以上の世代になると、新聞の折込チラシやテレビCMなどのアナログメディアの方が依然として強い影響力を持ちます。
また、同じデジタル広告でも、InstagramとFacebookではユーザー層が異なりますし、X(旧Twitter)やTikTokなどではリアルタイム性やエンタメ性が重視されます。商品の特性と相手の嗜好性を丁寧に照らし合わせながら、広告媒体を選ぶ必要があります。
加えて、広告手法には「出稿型」と「オウンドメディア型」があります。出稿型は短期的な効果を狙いやすい一方、オウンドメディア(自社ブログやSNS)は時間はかかるものの、長期的な信頼の蓄積につながります。両者をバランスよく組み合わせて運用することが、起業初期における広告戦略の鍵を握ります。
PDCAを回して高度化する
広告戦略において「一発必中」を狙うのは非常に難しいことです。最初から完璧な広告表現や媒体選定ができることは稀であり、むしろ仮説を立てて試し、結果を分析し、改善するというプロセスこそが成果への近道です。この一連のプロセスを、ビジネスでは「PDCAサイクル」と呼びます。
具体的には、まず仮説をもとに小規模に広告を展開し(Plan)、実施します(Do)。その後、反応率やアクセス数、問い合わせ件数などをもとに効果を検証し(Check)、より効果的な表現や媒体への改善を行います(Act)。このサイクルを繰り返すことで、より効果的で費用対効果の高い広告戦略が構築されていきます。
また、改善の際にはユーザーの声やアクセス解析データなど、定量・定性の両方の情報を活用しましょう。こうした積み重ねが、広告に限らず、商品開発や販売戦略の高度化にもつながります。起業当初の限られた資源を最大限に活かすためにも、PDCAの継続的な運用が重要です。
まとめ
起業当初の広告戦略は、認知の獲得という面で極めて重要な役割を果たします。まずは予算の中で計画的に、そしてターゲットを明確に絞って広告を展開することが成功の第一歩です。広告媒体はターゲットの属性に応じて選定し、いきなり完璧を求めるのではなく、PDCAを回して効果を高めていく姿勢が求められます。
限られたリソースを最大限に活かすためには、「計画」「実行」「検証」「改善」の意識を持ちつつ、変化する市場や顧客の声に柔軟に対応することがカギになります。広告戦略は単なるコストではなく、未来の顧客との出会いをつくる投資です。戦略的に、そして着実に進めて行く必要があります。
当研究所では、起業当初の様々な課題を全方位でサポートいたします。下記よりお気軽にご相談ください。


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