上半期の倒産が増加傾向。主な要因は物価高と人手不足
2025年上半期の企業倒産件数が明らかになり、前年同期に比べて倒産件数は明確に増加傾向にあります。特に目立つのが、物価高と人手不足の二つの要因です。物価の上昇は、エネルギーコストや原材料費だけでなく、物流コストや外注費にも波及しており、多くの中小企業の利益を圧迫しています。一方、人手不足は慢性化しており、求人をかけても人が集まらず、人件費を引き上げて何とか雇用を維持している企業も少なくありません。
この二つの要因は相互に関連しており、コスト高を価格転嫁できないままに資金繰りが行き詰まり、やむなく倒産というケースが目立っています。特に地域密着型の小規模事業者では、顧客の価格感度が高く、安易な値上げができないジレンマを抱えています。
こうした状況はしばらく続くとみられ、事業者は早めに対策を講じる必要があります。そこで本稿では、厳しい物価高の中で倒産を避けるための具体的な対策について、大きな方向性と小さな工夫の両面からご紹介します。物価高だからと諦めるのではなく、企業として生き残るために何ができるのか、一つ一つを現実的に考えていくことが求められます。
品質と価格の見直しを
物価高による倒産を防ぐために、真っ先に考えたいのが自社の商品やサービスの品質と価格の両方を改めて見直すことです。多くの企業では、仕入れ価格やエネルギーコストの高騰により、これまで通りの価格設定では利益が出なくなってきています。そのため、どうしても値上げは避けられない状況です。しかし、ただ単純に価格を引き上げるだけでは、顧客の離反を招きかねません。
重要なのは、値上げ幅以上の価値を顧客に提供できるかどうかです。例えば、飲食店であれば、メイン食材をワンランク上のものに変更し、味や見栄えをさらに良くする。サービス業であれば、付加価値のあるオプションを取り入れることで「値上げしてもこの品質なら納得」と思ってもらえる形にすることがポイントです。
また、品質改善は一度で終わりではありません。市場の変化や顧客のニーズを継続的に把握しながら、常に小さな改良を積み重ねる姿勢が大切です。高品質と適正価格のバランスを取り続けることこそが、物価高時代を乗り切る大きな力になります。
中長期的に考えるなら賃上げまで含めた底上げが必要
物価高は一時的なものではなく、構造的な変化として今後も続いていく可能性が高いといわれています。こうした状況で企業が生き残るためには、短期的な値上げやコスト削減だけでなく、中長期的に見た経営基盤の底上げが必要です。その一つが従業員の賃上げです。
物価高で生活費が増大する中、賃金が上がらなければ従業員のモチベーションは下がり、離職や人材流出のリスクが高まります。人手不足が深刻な今、優秀な人材を確保し続けるためにも、適切な賃金水準を維持・向上させることは不可欠です。ただし、単なるコスト増に終わらせないためには、賃上げと同時に生産性やサービス品質の向上を図ることが求められます。
例えば、従業員のスキルアップを支援し、より付加価値の高い商品やサービスを提供できる体制を整える。これにより、価格競争に陥らずに済み、顧客に選ばれ続ける企業体質が作られます。賃上げは大きな経営負担にもなりますが、それを乗り越えて初めて物価高に負けない持続可能な経営が可能になります。
安売りには限界がある
物価高が進む中で、多くの企業がこれまで以上に価格維持のために様々な努力をしています。しかし、長期的に見ると、安売りだけで顧客をつなぎ止めるビジネスモデルには限界があります。例えば、100円ショップや500円弁当のように、価格の安さを売りにしてきた業態では、原材料費や物流費の高騰を吸収しきれず、収益を確保するのが難しくなっています。
無理な安売りは、品質の低下を招きやすく、結果として顧客の信頼を失ってしまう可能性もあります。また、従業員の賃金を犠牲にした安売りは、人材流出を招き、長期的に事業が成り立たなくなるリスクがあります。
こうした状況では、思い切った方向転換が必要です。値上げを恐れず、その分の価値を顧客にしっかり提供することが不可欠です。もちろん、競争が激しい市場では簡単に値上げできない場合もありますが、その場合でも単純な値下げ競争に巻き込まれないよう、独自性や付加価値をどう作るかが重要になります。安売りだけに頼る時代は終わりつつあることを経営者はしっかり認識するべきです。
メイン商材は値上げして、周辺商材は安く済ませる小技は有効
物価高の中で顧客離れを防ぐために、大胆な値上げと細やかな工夫を組み合わせることも一つの方法です。例えば、飲食業界を例に取ると、弁当の主役であるご飯や肉などのメイン商材の原材料費が高騰している場合、一定の値上げは避けられません。しかし、全体の値上げ幅を抑えるために、副菜や付け合わせなどの周辺商材を工夫することがポイントです。
季節によって安く仕入れられる野菜を上手く取り入れたり、加工方法を工夫してボリュームを出すなど、原価を抑えつつ満足度を高める方法があります。こうした小技を積み重ねることで、顧客にとっては「少し高くなったけど、この内容なら納得できる」と感じてもらえる可能性が高まります。
また、同業他社との差別化にもつながります。大技だけではどうしても限界がありますが、こうした細やかな工夫をいくつも重ねることで、物価高を乗り越える柔軟な経営が実現します。値上げは顧客に嫌がられるものという固定観念を捨て、適切な値上げとコストコントロールを組み合わせていく姿勢が求められます。
まとめ
2025年上半期における倒産件数の増加は、物価高と人手不足という二つの問題が深く絡み合っていることを示しています。しかし、だからといって何もしないまま座して待つわけにはいきません。
重要なのは、単なる値上げやコストカットではなく、品質向上と価格の見直しを軸に、中長期的な視点を持って経営基盤を整えることです。従業員の賃上げも含めて、企業として持続可能な成長を目指すべきです。また、無理な安売りに頼らず、顧客にとって「値段以上の価値」を提供することが、結果として生き残る道となります。
さらに、値上げ幅を抑える小技を取り入れるなど、柔軟に工夫を重ねることも忘れてはいけません。大技と小技を組み合わせてこそ、物価高倒産を防ぎ、顧客からも選ばれ続ける企業であり続けることができます。物価高という厳しい環境を、経営改善のきっかけととらえ、前向きに一歩ずつ進めていくことが求められています。
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