小手先の対応ではジリ貧に。物価高の中での収支計画作成【公認会計士×MBAが解説】

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個人の多重債務者が急増

個人の多重債務者が急増しています。近年は物価の上昇が長期化し、生活に必要な商品の値上げが相次いだことで、家計の負担が急増しています。特に食料品や光熱費、交通費といった生活に欠かせない支出の増加は避けようがなく、これまでと同じ収入では同じ生活水準を維持することが難しくなっています。そのため、不足分を補うためにクレジットカードのリボ払いを利用したり、消費者金融で借り入れを行ったりする人が増えています。
しかし、それでも足りないケースでは複数の金融機関から同時に借り入れを行う人も少なくありません。総量規制を受けると借入額に制限が設けられてしまうため、複数社から少しずつ借りることで大きな金額を調達しようとする人も目立っています。本来は返済能力を超える借り入れを防ぐための仕組みであるにもかかわらず、それをすり抜ける形で借金を増やしてしまう状況が起きています。
こうして借入先が増えると返済日は複数となり、返済額の総和は急速に膨らんでいきます。すると、返済のためにさらに借り入れを行うという悪循環に陥り、最終的には返済不能に至るリスクが高まります。このように、物価高による支出増加に対して十分な対応を行わなかった結果、多重債務へ追い込まれてしまう方が増えています。
そこで本稿では、個人レベルでも企業レベルでもこうした状況を避けるために、物価高の中でも破綻しない収支計画をどのように作成するかについて、その考え方と実践のポイントを紹介します。生活に余裕を持たせるための支出管理の方法や、収入を増やす上での心構え、さらに借入を行う際に必ず考慮すべき点など、家計や事業における実践的な視点から解説を進めていきます。現状を正確に把握し、長期的な視点で安定した収支バランスをつくるための基礎を押さえることが重要です。

支出の増加は今後も続く

最近の物価高は家計だけでなく企業経営にも大きな影響を与えています。そして、これは一時的な現象ではありません。世界全体で高度化・高付加価値化が進む中、製造コストから物流コスト、人件費、エネルギー費用に至るまで、あらゆるコストが長期的に上昇し続けることが確実視されています。つまり「いつか元に戻る」という期待に頼って計画を立てることは危険であり、むしろ上昇を前提に家計や経営を組み立てる必要があります。
世界的に競争が激化しており、企業はより高度なサービスや付加価値を提供することを求められています。その結果として、技術投資やセキュリティ対策、品質管理コストなども上昇しており、これは中小企業だけでなく個人レベルの生活にも跳ね返っています。生活のあらゆる局面で支出が増えているため、従来のやりくり方法では追いつかなくなっています。
このような環境下では、支出の増加を前提にその中身を徹底的に見直すことが不可欠です。まずは不要な支出を削減することが出発点となります。日常生活だけでなく、事業経営においても漫然と支出を続けている項目がないか、定期的な見直しが求められます。例えば、使っていないサブスクリプションサービスの契約が放置されていないか、電気や通信のプランが割高になっていないか、あるいは業務効率化によって削れるコストがないかなど、身の回りには削減余地が潜んでいます。
支出削減のポイントは、単に目先の節約に終わらせないことです。削減した分が一時的に残ればよいというものではなく、継続的に負担を小さくしていく仕組みを整えることが重要です。そのためには契約内容を見直す習慣や、定期的に支出構造を分析するルールを設けるなど、長期的な視点での管理能力が欠かせません。今後も続くであろう支出増に備えるためには、自らコストを抑制するための仕組みづくりが必要となります。

収入を増やし続ける

支出が今後も増加し続けることが避けられない以上、収入を増やすこともまた避けることができない課題です。いくら支出を削減したとしても、物価が上がり続ける状況では限界があります。そこで求められるのが、継続的に収入を増加させる工夫です。事業者の場合は、まず増加したコストを価格に転嫁し、適切な値上げを行うことが必要になります。
値上げをためらう人は多いですが、コストを反映しない価格設定では、いずれ経営が立ち行かなくなります。値上げをしても売れない商品であれば、それは競争力が不足しているということです。競争力の低い商品のままでは、どんなに努力しても収益の確保は困難です。そのため、商品の魅力を高める取り組みが欠かせません。
魅力ある商品づくりとは、単に品質を上げるだけではありません。顧客が何に価値を感じ、何に対して対価を払うのかを正確に理解し、そのニーズに応える形で商品やサービスを磨き上げていくことが求められます。市場の変化を敏感に捉え、提供する価値を高められれば、高く売ることができ、収入増加の道が開けます。
また、個人の収入についても、より高い付加価値を提供する能力を身につけることが重要です。資格取得や専門知識の習得、副業による収入源の拡大など、収入を多元化することも有効な手段です。重要なのは、収入増加を継続的なプロセスとして捉え、自身の市場価値を高め続ける努力を怠らないことです。

借入を行う場合は返済原資を意識せよ

個人の多重債務者には、生活費が足りないから借り入れを増やすという選択をしがちな方が目立ちます。しかし、この方法では確実に破綻へ向かってしまいます。借り入れを行う場合は、返済原資を確保できることが絶対条件です。返済原資とは、借金を返すために将来確実に得られる収入のことであり、これが見込めない借り入れは非常に危険です。
借り入れとは本来、足りない資金を補うためのものではありません。返済のための資金がなければ借金は膨らむばかりであり、いずれ返済不能に陥ります。借入の本質は、将来の収入を増加させるために投資を行うことにあります。例えば、事業の設備投資やスキル向上のための学習費用など、収入が増える見込みがある投資に使うことで、借入金を返済していく循環が形成されます。
このように、「借り入れは未来の収入増につながる投資である」という意識を持つことが重要です。たとえ少額であっても、生活費の穴埋めとして借金をすると、その時点で返済の出口は見えなくなります。借入金の使い道を厳密に管理し、収入増加につながらない支出に使ってはならないという強い意識が必要です。
さらに、返済計画を事前に立てることも必須です。返済額が毎月の収入に対して適切であるか、返済が滞りなく続けられるかをシミュレーションし、無理のない計画を立てることで、多重債務を防ぐことができます。

小手先の対応ではじり貧に、そこで大きな変革を

コスト増加が続く状況において、小手先の対応を行っても、じり貧になるだけです。支出を削り、収入を増やす取り組みを続けても、それだけでは限界があります。いずれは努力の量に対して成果が見合わなくなり、旧来のビジネスモデルそのものが外部環境に適応できていないという現実に直面します。
そのような場合は、大きな変革を検討すべき時期に来ていると考えるべきです。ビジネスモデルの限界は、単に利益率が低下するといった表面的な問題にとどまらず、提供している価値が社会の変化に追いついていないことを示しています。時代が大きく動いている中では、従来のやり方を続けるだけでは持続的な成長を実現できません。
大胆な変革とは、ビジネスモデルの根底にある考え方を見直し、提供する価値そのものを再定義することです。例えば、商品販売中心のビジネスをサービス提供型に転換したり、単体の製品提供からサブスクリプションモデルに変更したりするなど、事業のあり方を根本から変える決断が求められることもあります。
変革にはリスクが伴いますが、変革を避ければ長期的な衰退が待っています。外部環境が変わり続ける中で、自らも変わり続ける姿勢が重要です。

まとめ

物価高が続く現在、従来の収支管理の方法では、安定した生活や事業運営を維持することはますます難しくなっています。支出は今後も増加していくことが予想され、これに対応するためには早い段階で支出構造を見直し、不要な支出を削減する習慣をつけることが不可欠です。
同時に、収入を増やす努力も継続的に行う必要があります。値上げや付加価値向上など、収入を伸ばすための取り組みは容易ではありませんが、避けて通れない課題です。個人であればスキルアップや副業などによる収入源の拡大も重要です。
さらに、借入を行う場合には返済原資を厳密に意識し、生活費の補填としての借金は避けることが求められます。借り入れは将来の収入増につながる投資に限定し、返済計画を事前に立てることで健全な家計運営を実現できます。
そして、支出抑制と収入増加だけでは限界が訪れる局面もあり、その場合はビジネスモデルそのものの変革を検討することが不可避です。小手先の対応では現状を乗り越えることができない場面が増えているため、環境に合わせた大きな変化を受け入れる覚悟が求められます。
物価高時代を生き抜くためには、短期的な対策だけでなく、長期的な視点で収支計画を作成し、持続可能な仕組みを構築することが重要です。現状を正しく理解し、柔軟かつ根本的な見直しを行うことで、今後の変化に強い収支管理が可能になります。
当研究所では、金融系資格を有する専門家が数字を根拠に、収支管理の改善について短期的な施策と同時に、中長期的にどのように変革していくべきかも考慮しながらバランスのとれたサポートを意識しております。収支管理でお困りの方はぜひ下記よりお気軽にご相談ください。

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