コンサルティングの基礎の基礎【弁護士×中小企業診断士が解説】

コンサルティング

コンサルティングは誰でもできる。でも良いコンサルティングと悪いコンサルティングは必ず明暗分かれる

コンサルタントという肩書きは、特別な国家資格がなくても自由に名乗ることができます。弁護士や医師のように免許制ではないため、極端な話、今日からでも「私はコンサルタントです」と名乗り、業務を開始することは可能です。そのため、経営に関する知識や経験が乏しくてもコンサルティング業務を提供している人が存在する一方で、資格を持たずとも豊富な実務経験と高い洞察力を持つ優秀なコンサルタントも数多くいます。
特に中小企業診断士のような公的資格を取得しなくても、現場での経験を積み、クライアントの課題解決に貢献することで高く評価されているコンサルタントは珍しくありません。しかし、誰でも「相談対応」という行為ができる以上、その品質にはどうしてもピンキリの差が生まれます。適切な助言を行い、クライアントの成果に結びつける「良いコンサルティング」がある一方で、表面的なアドバイスだけで終わってしまう「悪いコンサルティング」も存在します
そこで、本稿ではコンサルティングを名乗る上で最低限押さえておくべき「良いコンサルティングの基礎の基礎」を解説していきます。ただ単に「話を聞いてアドバイスをする」だけではなく、成果に結びつくプロセスとはどのようなものかを順を追ってご説明します。

何に困っているか本質的な課題を見抜く

コンサルティングは、業種によってはマニュアル化された対応を行う場面もありますが、基本的には「一件一件異なる問題に対して柔軟に対応する」ことが求められる仕事です。クライアントが抱えている課題は、表面上は似ていても、その根本的な原因や背景は千差万別です。ここで、過去に経験した案件に当てはめて安易に解決策を提示してしまうのは愚策といえるでしょう。
最も重要なのは、最初の段階で「丁寧に話を聞く」という姿勢です。クライアントが「お金に困っている」と言った場合でも、その原因が収入の不足なのか、支出の過多なのか、あるいは経営戦略上の誤りなのかは、話を深掘りしなければわかりません。場合によっては本人すら自覚していない別の要因が隠れていることもあります。
本質的な課題を見抜くためには、ヒアリングの際に相手の言葉を鵜呑みにせず、状況や背景を多角的に探る姿勢が欠かせません。また、初動段階で自分の仮説に固執せず、予断を持たずに臨機応変に対応する柔軟さも必要です。良いコンサルティングは、クライアントが認識している「問題」を鵜呑みにせず、背後にある「本当の課題」を掘り起こすところから始まるのです。

助けになれるか

課題が明らかになった段階で、次に考えなければならないのは「自分がその課題に対して本当に役に立てるか」という点です。コンサルタントとして報酬を得る以上、クライアントに対して実質的な価値提供ができなければ意味がありません。
この点において、一流のコンサルタントは自分が専門外の分野については無理に受けようとはしません。逆に三流コンサルタントは、依頼があればどんな案件でも引き受けてしまい、結果としてクライアントの期待に応えられずに終わるケースが少なくありません。
苦手分野に手を出して無理に対応しようとすると、クライアントにとっては無駄な時間と費用がかかり、信頼を損なうリスクが高まります。むしろ、自分が役に立てないと判断した場合は、潔く断るか、適切な専門家を紹介する方が誠実な対応です。
「クライアントの課題解決に対して自分は何を提供できるのか」「本当に自分が最適な選択肢なのか」を冷静に判断し、役に立てる範囲で全力を尽くすことが、良いコンサルティングの基礎です。

解決策を見出す

課題が明確になり、自分が助けになれると判断した後は、具体的な解決策を提示する段階に進みます。このフェーズでは、コンサルタント自身が持つ知識や経験を活かしたノウハウ業務の比重が高くなるのが一般的です。しかし、単に「自分が過去に成功したパターン」を押し付けるだけでは、クライアントにとって最善の選択肢とはならない可能性があります。
なぜなら、解決策の最適解は状況や価値観によって変わるからです。例えば、利益の最大化を優先するクライアントと、従業員の働きやすさを重視するクライアントでは、同じ課題でもアプローチが異なります。そのため、コンサルタントはクライアントの意向を丁寧に聞き取り、選択肢ごとのメリット・デメリットをわかりやすく提示することが重要です。
解決策を提示する際には、数字やデータに基づく「定量的な比較」だけでなく、組織文化や経営者の価値観といった「定性的な要素」についても説明し、クライアントが納得のいく意思決定ができるようサポートする必要があります。押し付けではなく、共に最適解を導く姿勢こそが、信頼されるコンサルタントのあり方です。

中長期的な観点も忘れずに

コンサルティングの現場では、クライアントが目の前の課題にとらわれてしまい、中長期的な視点を持たずに解決策を選択しようとすることがよくあります。しかし、短期的な課題解決が中長期的な経営にとって必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。
例えば、コスト削減のために人員整理を行えば、短期的には利益が改善するかもしれません。しかし、将来的な事業拡大や人材育成の観点から見れば、マイナスの影響が大きくなる場合もあります。クライアントが見えていないリスクや、将来に向けた準備不足を指摘し、バランスの取れた提案を行うことがコンサルタントの重要な役割です。
クライアント自身が気付いていない「盲点」を補完し、中長期的な視点での意思決定をサポートすることで、信頼関係はより強固なものになります。ただし、クライアントの価値観や現実的な制約も尊重しながら、現実的かつ持続可能な提案を行うことが求められます。

まとめ

コンサルティングという仕事は、資格や肩書きよりも「課題解決に向き合う姿勢」が問われる職業です。誰でも名乗れる職業だからこそ、良いコンサルタントと悪いコンサルタントの差は歴然となります
本稿でお伝えした「本質的な課題を見抜く力」「助けになれるかの自己判断」「解決策の提示」「中長期的な視点の提案」といった要素は、どれも基本的なことではありますが、これらを愚直に積み重ねることがクライアントの信頼を獲得し、成果に繋がるコンサルティングへの第一歩となります。
資格がなくても立派なコンサルタントは存在しますが、適切な知識と誠実な姿勢を持たない限り、長く信頼される存在にはなれません。逆にいえば、これらの基礎をしっかり押さえれば、誰でも「良いコンサルタント」になることは可能です。
当研究所では、お客様の本質的な課題に対して、全方位の知見を駆使して最善の解決策を模索いたします。お困りごとがございましたらお気軽に下記よりご相談ください。

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