離婚に向けて決めていかなければならないこととその手順【弁護士×CFPが解説】

離婚

離婚は衝動的に申し入れてはいけない

離婚という出来事は、人生において重大な転機の一つです。しかし、その重要性に反して、感情的な勢いで離婚を口にしてしまう方が少なくありません。たしかに、口論の最中や不満が爆発したときなどには「もう離婚だ!」と口走りたくなる気持ちは理解できますが、衝動的な離婚の申し出は多くのトラブルのもとになります
そもそも、離婚は一方当事者の希望だけでは成立しません。相手が応じなければ協議離婚はできず、調停や裁判という法的手続きに進むことになります。また、仮に相手が応じたとしても、その後に生じるさまざまな課題――財産分与や親権、生活基盤の構築など――をまったく準備せずに臨むと、後悔と混乱が待ち受けています。
離婚という選択肢を選ぶ際には、「準備」と「手順」が何より大切です。そこで本稿では、離婚に向けて決めなければならないことを順を追って整理し、感情に流されずに冷静な判断ができるよう手順を説明します。

離婚の理由と裏付けの整理・確認

離婚を検討するにあたり、最初に行うべきことは、「なぜ離婚したいのか」という理由の明確化です。この理由は、自分自身の心を整理するためにも必要ですが、相手や第三者(調停委員や裁判官)に説明する際にも重要な意味を持ちます。漠然とした不満や感情の爆発ではなく、事実と論理に基づいた理由を用意することが大切です。
たとえば、「性格の不一致」といった曖昧な表現ではなく、「何度も話し合ったが意思疎通が図れず生活に支障をきたしている」など、具体的に表現することが求められます。さらに、それが一時的な感情に由来するものでないか、他の手段(カウンセリングや別居など)で解決の余地がないかも検討しましょう。
加えて、離婚理由には客観的な裏付けが求められる場面もあります。たとえば不貞行為や暴力などを主張する場合は、証拠や記録が必要です。また、相手にのみ非があるように責任を押しつけると、協議が長引いたり反発を招いたりすることがあるため、冷静な対応と表現が不可欠です。

経済的自立の準備

離婚に向けて避けて通れない課題が「お金」です。現在の生活は、夫婦の収入や家計を前提に成り立っていますが、離婚後は自分自身の収入だけで生活を組み立てなければなりません。そのため、事前に経済的な試算を行い、離婚後も生活が成り立つかを冷静に見積もる必要があります。
まず、引っ越し費用や新生活の準備金が必要です。家具・家電の買い直し、敷金礼金、引っ越し業者への支払いなど、想像以上に初期費用はかさみます。また、養育費や慰謝料、財産分与の内容についても、自分にとって不利にならないように法的な視点をもって確認する必要があります。
収入面では、就業形態の見直しや転職、副業なども視野に入れた検討が必要です。現段階で収入が足りない場合、支援制度や補助金、公的支援などを調べておくと安心です。家計簿を用いて支出の見直しを行い、どの程度の生活水準を維持できるかを具体的に把握しましょう。

精神的独立の準備

離婚後は、家事・育児・生活のすべてを一人でこなす覚悟が必要になります。それまで夫婦で分担していたことを自分一人で担うことになるため、精神的な負荷は想像以上です。特に、精神的な支えがなくなる孤独感にどう対処するかが大きな課題となります。
まず、自分の中で「一人でやっていく」という意志をしっかり固めることが必要です。離婚を選ぶということは、自分の人生を主体的に生きるという決断でもあります。親族や友人、行政の相談窓口など、必要に応じて外部の支援を活用する手段もあらかじめ調べておくとよいでしょう。
また、子どもがいる場合はその精神的ケアも不可欠です。突然の環境変化は子どもにとって非常に大きなストレスとなるため、話し合いを丁寧に行い、転校や住まいの変化についても慎重に進める必要があります。親の不安は子どもにも伝わるため、まずは自分が安定することが大切です

以上を実現可能な日程でスケジューリング

離婚を決意したからといって、すぐに行動を起こすことは得策ではありません。前章までに述べた各準備事項は、いずれも時間と手間を要するものです。これらをすべて無理なく実行するためには、現実的かつ具体的なスケジュールを立てることが肝要です。
たとえば、まず3か月以内に家計の試算と収入源の確保を目指す、6か月以内に引っ越し準備や住居探しを進める、といった具合に段階的な目標を設定します。並行して、離婚届の提出時期や親権・養育費に関する協議のスケジュールも明確にしておきましょう。
感情に流されて離婚を急ぐと、計画が不十分なまま離婚が成立し、その後の生活に支障をきたすことが少なくありません。現実的な時間軸をもとに冷静に準備を進めることで、自分にも相手にも納得のいく形で離婚を実現することが可能になります。

まとめ

離婚は、感情だけで進めるものではありません。その後の生活に直結する重大な決断であるからこそ、理由の整理、経済・精神面の準備、スケジュールの策定といった段取りを慎重に踏んでいく必要があります。いずれの過程も、冷静さと現実的な視点が問われる場面ばかりです。
衝動的に離婚を申し出る前に、自分自身の内面や生活基盤を整えることが最も大切です。事前準備を怠らなければ、離婚後の人生をより前向きに歩むことができるでしょう。焦らず、ひとつひとつ確実に判断を積み重ねていくことが、納得のいく離婚への第一歩です
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