宝塚歌劇団の出願減少に見る、組織の「誰を守るか」

リスクマネジメント

被害者を守るべきだ、というセオリーはわかるが

宝塚歌劇団の事件の影響で団員になりたいという希望者が激減しています。当然、有望な新人が来なければ組織は発展せず、どんどんジリ貧となっていきます。
契機は歌劇団内部でのイジメを起因とした自殺の発生です。こうした事故が起こった場合、常識的には被害者を擁護し、加害者を追及するのがセオリーですが、一般的にはその逆が当たり前のように選択されています。

本稿では、こうした事件が発生した際、誰を優先的に守るべきかをリスクマネジメントの観点から説明します

守るべきは中長期的な組織

組織の意思決定として、こうした場面で最優先すべき事項を、組織の存続に置きがちです。組織の存続を重視することは悪くないのですが、問題は「今の苦境をできる限り無傷で乗り切ること」という短期目線に偏り過ぎた意思決定をしがちなところです。

そうではなく、中長期的に組織を存続させていくことこそが大事で、この観点の違いから、守るべき対象を見誤ってしまいがちです。

短期目線では加害者擁護へ

短期的な「その場しのぎ」だと、加害者を擁護しがちです。加害者と被害者という構造の中で、多くは加害者の方が組織における貢献度や発言力が高く、そうした「力のある」方に肩入れしなければ、今の有望なメンバーが離脱するなど、組織を無傷で守れません。
しかし、宝塚歌劇団が大手弁護士法人に調査させてまで組織を守ろうとしたことが裏目に出たことは明らかで、今となっては当時守ろうとした加害者に謝罪を促す以外に手だてがない状況に追い込まれています。

中長期目線で必要なのは誠実性

組織を中長期的に守るために必要なのは、とにかく「まともな組織」だという認識を維持すること。そのために必要なのは誠実な対応です
誠実な対応を一番に考えれば、普通は被害者優先に向かうでしょうし、そこに至る遠回りをする無駄が組織の存続のために大変もったいないのです。

事件の時こそ誠実な対応を

リスクマネジメントの最大のセオリーは誠実。悪手は根回しと予定調和です。社会一般にどう思われるかを考えながら、正直に誠実に対応することが何より重要です。

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