戦術としての「嘘」とタブーな「嘘」

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大谷選手は何を話すか

大谷選手の通訳が違法賭博に関する自身の債務弁済のために大谷選手のお金を送金した件について明日、報道陣の前で話をします。

報道内容が割れている通り、この対応にはいくつかのパターンがあり、大谷選手がどのルートを選ぶか注目を集めています。

戦術としてのベスト

大谷選手のアメリカ人弁護士が、「送金は水谷通訳が勝手にやったものだ」と、主張していると報道されています。私はこの事件の事実関係は全く知らないうえで、第三者として意見をすると、これは戦術としてはベストです。

このシナリオでは、大谷選手の違法賭博への関与を完全に否定するため、警察は任意でも事情聴取することが困難であり、本業の安寧を確保できるためです。

しかし、いかにも、昨今よく報道される「政治とカネ」をめぐる政治家の態度とシンクロしていてすっきりしません。

倫理ある人が踏み外してはいけない一線

もし、事実は大谷選手が送金したにも関わらず、弁護士が前項のように証言するよう助言してるのであれば、私は弁護士に職業倫理違反があると考えます。事実を黙秘するところまでは戦術でも、嘘をつくことは戦術の範疇を超えるからです。

我々弁護士は、裁判所や弁護士会への欺罔行為は厳しく罰せられますし、顧客への欺罔行為はルールとしてはまだそれほど厳しくありませんが、もし問題化するとバッジは守り切れないでしょう。

それなりの倫理ある人間は、「言いたくないことは言わない」までがギリギリの許容範囲で、嘘は絶対についてはならないのです。

恐れるのは罰?それとも信用失墜?

明日、大谷選手が話すのはどんな内容になるのか、多くの人が注目しています。嘘をついて処罰を回避するのはそう難しくありません。しかし、短期的な罰ではなく中長期的な信用維持を重視するのであれば、自身の認識の通りに話すのが最善で、一択です。

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