顧問を組織文化の再生や従業員教育に活用する新手法

顧問契約

顧問は基本的に助言者にすぎない

企業が顧問を雇って専門分野に関するサポートを得る場合、この顧問の意見や提案は、ただの助言に過ぎず、何ら拘束力はありません。特に経営判断事項については、経営者が判断すべきもので、顧問が意思決定をすべきものではありませんし、顧問としても意思決定の責任を負わされるのを嫌がるからです。

しかし、そのため、顧問の折角の助言が企業活動に良い影響を生じないケースもしばしば見受けられます。私の過去の経験では、個人情報の保護に対する意識がかなり低い組織に対して、個人情報保護の必要性とこてを怠るリスクを説明したものの、ほぼ完全にスルーされたケースがあります。

良い助言を生かすも殺すも組織文化と従業員の水準

さて、この個人情報保護のケース、弁護士であればほぼ全員が個人情報保護の観点で意見を言うケースに見受けられました。つまり、この意見は誰が顧問であってもつく意見であり、組織活動の改善に有益なものだったはずでしたが、これが活かされないのは、個人情報保護を疎かにする企業文化と、従業員の個人情報に関する理解不足にあります。

組織はスピード感を持って活動をすればするほど、何かを犠牲にして、方向を選択して進んでいきます。そのため、その犠牲にした分野と逆の方向に偏っていきがちです。この偏りを定期的に修正していく作業が、企業が正しい方向に進み続けていくために必要なのです。

また、近時、リスキリングという言葉をよく耳にしますが、組織の中で集中的に特定の仕事ばかりしていると、その他の分野の学習が疎かになり、イレギュラーな案件への対応力を失ってしまいがちですので、定期的に重要事項を網羅的に学びなおす機会も、どんな社員にも重要です。

顧問の講師としての活用

ここで、専門性を有する顧問を、ただの助言者ではなく、社内セミナーの講師として活用することが有効です。先の個人情報保護のケースでは、弁護士である顧問が、個人情報保護の必要性やリスクをわかりやすく説明することで、従業員のレベルアップに貢献し、個人情報を大事に扱うという組織文化を作り上げることが可能となります。

急いでたくさんの仕事をしなければいけない中では、多くのことが犠牲になり、それを当たり前だと考えてしまいがちです。しかし、大事なものを犠牲にせずに済む方法を考えることで、企業活動は高度化され、顧客のさらなる信頼を得ることができます。

そのためには、従業員の教育と組織文化の再生が不可欠であり、これは経営者自ら行うよりも、専門性のある顧問が担当する方が、説得的な成果をあげることが可能となります。

まとめ

以上のように、顧問はただ招聘して意思決定の選択しを挙げさせるだけでなく、内部講師として従業員を育成し、組織文化をよりよい方向に向きなおして、企業活動を高度化することに役立てるのが有効です。

当研究所では、大企業や官公庁での助言業務や講師業務の経験が豊富な弁護士・弁理士・公認会計士・CFPが、御社の発展に力強く貢献いたします。下記よりお気軽にお問合せください。

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