事業再生時における事業整理対象の選別の観点

事業再生

事業再生は企業全体のスクラップ&リビルド

事業再生を行う際、そこに至った背景には、何らかの原因が企業内にあるはずです。事業再生の基本は、この原因を追求して解消することです。

いくつかの事業部門がある企業の場合、すべての部門に問題があるということはなかなかなく(もしそうであれば倒産一択となると思われます)、好況の部門も、不採算部門も両方あると思います。事業再生の基本は、好況部門は伸ばし、不採算部門は撤退か抜本的なてこ入れが必要です。

この「残す部門」と「潰す部門」の選別はなかなか簡単ではありませんが、ここでは、収益性と成長性の2つの観点で整理したいと思います

収益性も成長性も高い領域(Ⅱ)

事業再生が必要な会社であっても、コアコンピタンスを有し、収益性も成長性も高い領域で活動する部門があることはしばしばあります。ここは、将来的にさらなる収益を得るチャンス領域であるため、伸ばしていくことが重要です。

順調な活動ができているのであればそのまま伸ばしても良いのですが、金融機関からの援助を受けて、さらに伸ばしていくことも大事な選択肢です。どの程度の融資を受ければどのように事業を拡大していけるか、数字できちんと説明できれば、ここは、金融機関も納得しやすい領域です。

収益性は低いが成長性の高い領域(Ⅰ)

収益性の悪い部門は撤退が定石です。しかし、その領域での事業が、まだ軌道に乗っていないだけで、将来的に有望である場合、金融機関の援助を受けて伸ばしていくことも必要です。

ただ、前項と異なり、現時点で芽の出ていない事業ですので、なかなか、今後成長するという説明が困難なところでもあります。ただ、丁寧に事業計画を作成し、十分な根拠を粘り強く用意すれば、決して不可能な内容ではありません。

収益性は高いが将来性のない領域(Ⅳ)

今は収益があがっているが、これ以上の伸びしろはなく、今後は低迷に向かっていくだけと想定される領域もしばしば見かけられます。こうした領域の事業は、当面はキャッシュフローを生み出すため、大事に運営すべきです。しかし、将来性がない以上、どこかでシフトチェンジが求められます。

「営業利益率が〇%を割ったら撤退を考える」などというようにKPIを明確にして、将来的な事業転換を考え始めるべきでしょう

収益性も成長性も見込めない領域(Ⅲ)

ここは撤退一択です。キャッシュアウトフローが生じているのであれば躊躇せずに一刻も早く撤退することで余計な出血を早期に止めるべきです。

まとめ

以上のように、事業再生においては、収益性も成長性も低い領域からどんどん撤退し、逆に成長性の見込める領域については融資を受けてこれを伸ばしていくというメリハリが必要となります。

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