巨額訴訟の難しさ
特許権侵害や多数の従業員から一斉に残業代請求がなされる案件などでは、訴額が巨大になりがちです。このような巨額訴訟は冷静に訴訟の見通しを読みながら適切なタイミングで適切な判断をする必要があり大変神経を使うものです。ここでは、こうした巨額訴訟をどのようにうまく扱うか整理したいと思います。
被告側のコツ
被告側としては、巨額訴訟で敗訴判決を受けてしまうと倒産のリスクが高まります。銀行口座を差し押さえられて運転資金を動かせなくなる可能性が高まるからです。敗訴判決を受けそうになった段階で会社資産をよそに移動させて・・・という方法はまず成功しません。訴訟の中でしかるべき対応を行っていく必要があります。
まずは、訴訟上、最強の主張を尽くすこと。可能性は低くとも、最高裁判例の結論を争ったり、適用法令の憲法違反まで行うケースもあります。とにかく可能な限り最強の主張を尽くして少しでも相手をひるませることがまず必要です。
そのうえで、敗訴の可能性を拭いきれない場合、柔軟に和解で処理すべきです。最強の主張を尽くして支払総額を少しでも減額した後、これを分割で支払う内容で和解を提案するのがセオリーです。この分割金額については、会社の資金繰り表を整理のうえ、会社の運営の支障を生じない範囲の金額を提案するのが一般的です。資金繰りの支障を及ぼすような和解は難しいですが、そのギリギリまで出している、ということを説明できれば、裁判所もそれ以上の要求はしてくる可能性は低く、原告としてもそれに応じるか否かの2択となります。
原告側のコツ
原告側としては、巨額訴訟で勝訴できそうな場合、その回収が最も重要な課題となります。敗訴した相手がそのまま倒産して逃げられてしまうのが最悪です。そのため、相手が支払える範囲内での分割支払による和解は原告側にもメリットがあります。
そこに至るまでに重要なのが、まずは、相手の主張を徹底的に潰して総額を減額するおそれをできる限り低減すること。次に、相手の提案する分割金額を精査し、本当にそれが支払可能なギリギリの金額であるかをチェックし、できる限り1回あたりの分割金額を増額することです。
弁護士×公認会計士という強み
このように、巨額訴訟においては、裁判上のスキルとともに、資金繰りに対する正確な理解が不可欠です。そのため、弁護士兼公認会計士という専門家に依頼することで、原告側であれば、より早くより多くの金額を回収でき、被告側であれば会社運営に支障をきたすことなく事件を処理することが可能となります。巨額の裁判を抱えることとなった場合、是非お気軽に下記よりお問合せいただき、当研究所をご利用ください。
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