資金繰りは事業活動の命
記帳は会計担当や税理士に任せっぱなし、という経営者は結構多いです。経営者の仕事は多いので、事務作業的な仕事はどんどん部下に任せていくのは普通です。ただ、作成された損益計算書の利益だけ見て納得しているようでは、資金繰りに窮して「黒字倒産」に陥るおそれがあります。利益はプラスでも、キャッシュフローは大幅なマイナス、というケースはしばしばあるからです。
経営者がキャッシュフロー計算書を作成できるレベルにあるべき、とは言いません。しかし、財務諸表を眺めて、おおまかなキャッシュフローの状態を把握できるレベルにはあったほうがよく、資金繰りの状況を何となくでも把握し、早めに手を打てば、倒産リスクは大幅に回避可能です。
要は営業キャッシュフロー
キャッシュフローを把握するうえで、最も重要なのは営業キャッシュフローです。理想的な事業活動は、営業キャッシュフローが大幅なプラスで、これを投資や借入金の返済、配当に回すことだと言われます。
営業キャッシュフローに関しては、公認会計士は、利益の金額に加減調整していく間接法という手法で作成・検証することが多いです。この方法を詳細に説明することは控えますが、キャッシュフローを感覚的に捉えるならば、税引き前利益を起算点として、
減価償却費や引当金計上など、現金流出のない費用を戻し入れ、
資産の売却損益など、実際の収入(売価)と異なる数値は除外し(投資CFで総額計算する)、
売掛金や在庫が増えた分、キャッシュを減らし、買掛金が増えた分キャッシュを増やす
このくらいは財務諸表を眺めてざっと把握できるのではないでしょうか。これだけでは正確なキャッシュフローの数値とは合致しませんが、この水準を把握できていれば、黒字倒産のリスクは大幅に回避できるでしょう。
余剰資金を投資や返済に回す
資金繰りはショートしたら終わりです。そのため、資金がないのに投資や返済、配当をするわけにはいきません。営業キャッシュフローがプラスとなるのを確認したうえで、その額の範囲内で、投資等、企業活動に必要な支出を考えるのが基本です。
もし、営業キャッシュフローがマイナスになるようであれば、会社財産を売却したり、借入を行うことにより、資金を補充する必要があります。
利益の金額は操作できませんが、キャッシュフローは事業活動がより良い方向に向かうよう動かしていくことができます。それゆえ、経営者の中には、損益計算書よりもキャッシュフロー計算書を好んでチェックする方も結構おられます。
まとめ
資金繰りに失敗して黒字倒産ということになると、いわゆる「死んでも死にきれない」という気持ちでいたたまれません。財務諸表の作成は部下に丸投げしても、資金繰りの状況は感覚的に把握できるようになっておきたいものです。
当研究所では、財務諸表の作成支援から、その活用方法まで幅広く企業経営者様のサポートを行っております。下記よりお気軽にご相談ください。
コメント