遺言はこのような時に準備せよ

相続・事業承継

遺言がものすごく役に立つケース

今日はシンプルに、どのような場合に遺言書を用意すべきかというテーマでポイントを整理します。

遺言書は、相続人の状況によって、あるととても役立つ場合と、あることによってかえって話し合いが大変になる場合とがあります。本稿ではその前者を取り上げます。

遺言が役立つ場合とは、典型的には相続人間の仲が悪く、まともな話し合いができない場合です。そのほか、以下に挙げるようなケースが考えられます。

被相続人と各相続人との距離感が大きく異なる場合

例えば、離婚した後、再婚して子が生まれた場合、前妻の子も再婚相手の子も、被相続人からすれば同じ子ですが、おそらく二人の子を対等に考える被相続人は少ないのではないでしょうか。この場合、遺言書を通じて、どちらの子にどれだけ相続させるか、明確に意思を残すことが大事で、これをしておかなければ相続争いは激化してしまいがちです。

同様に、最後まで面倒を見てくれた子とそうでない子との区別、連絡を取りにくい相続人の取り扱いなど、法定相続分は同じであっても、自分との距離感が大きく異なる場合、その距離感に応じて相続分をどう調整するのか明確に意思表示をすることで、相続争いを緩和することが可能となります。

特定の相続財産の帰属で争うことが想定される場合

例えば、本家土地建物を誰が相続するか、本物かどうかわからないが本物であればかなり高い価値となる美術品を誰が相続するか、揉めるおそれがある場合、遺言書で何を誰に相続させるか特定することで、無用な争いを回避することが可能となります。

相続財産が家しかない場合、家を誰に相続させて、その他の相続人には生命保険金を用意するといった工夫もしばしば行われます。

このように相続財産の帰属で揉めそうな場合にも、予め遺言書を作っておく意義が高いです。

手続の簡潔化目的

例えば、相続人が妻と子1人で、相続財産が5000万円を超える場合、妻はこれをすべて相続しても相続税はかかりませんが、子は少しでも相続すると税金が発生します。そのため、このようなケースでは妻の全部相続一択なのですが、こうした妻子相続のケースでは、利益相反が発生するため子に特別代理人を選任する手間が生じます。この手間を省くために、「妻に全部相続させる」旨の遺言を書いておくのも一策です。

また、所在不明の相続人がいるような場合、予め弁護士等を遺言執行者に指定しておくと、相続発生後速やかに相続人調査等を行うことができ、スムーズに手続を進めることができます。

このように、将来を見越した手続負担の軽減のために遺言書を作成するのが有利であるケースもあります。

まとめ

以上のように、遺言書を「書いておいた方がよい」ケースには様々な類型があります。自分で判断しようとするのも良いですが、専門家にスポットで相談して解決しておくのも大切な手法です。

当研究所では、相続案件の経験豊富な弁護士・公認会計士が、貴方のベストな相続の実現に尽力いたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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