相続対策は、資金の必要性の縦軸と横軸を意識してスケジュールせよ

相続・事業承継

相続対策は「縦軸」としての節税に注目しがち

相続財産が十分にあり、それをどう相続人に分配しようとするかを考える場合、どうしても節税ばかり意識しがちです。例えば、更地のままであれば評価額が高いので、他人に貸したり、賃貸アパートを建築しようと指導するのは税理士やコンサルタントの業務としてはごく普通です。

こうした相続時点の相続財産をどう圧縮するかという観点を「縦軸」といいます。多くの場合、依頼主は被相続人であることや、依頼の目的が「相続の完遂」であることなどから、どうしてもこうした考え方をしがちなのですが、これだけでは相続はなかなかうまくいきません

時間軸としての被相続人の意向も、相続の成功のためには重要

前項のように、縦軸の視点だけで相続がうまくいかないのは、相続には被相続人の意向も関係するからです。被相続人の意向としては、「すぐにまとまった資金がほしい」「当面は生活は安定しているから、最後に持ち分が確保されていれば十分」「当面は相続財産を運用しながら生活費を受け取り、リタイア後に残りを受け取りたい」などといった様々な思惑があります。こうした思惑を無視して、先の事例のように、更地に建物を建てたりすると、相続財産を受け取りたいタイミングの違いから、相続財産の分配について当事者間の余計な紛争を生じかねません

横軸を意識しながら縦軸を調整する

先に書いた通り、相続における本源的な依頼者である最終判断者は被相続人です。そのため、被相続人の意向を最優先で尊重しなければならないのですが、その中で、各相続人の意向を先に聞き取り、被相続人の意向に反映する作業を行うと、縦軸と横軸のバランスのとれた、円満な相続につなげることができます

これは簡単なようで、実に難しく、例えば更地にアパートを建てる例で言うと、相続人が、「リタイア時には相続財産を受け取りたい」という意向を有している場合、その時期に建物を取り壊せるよう、定期借地権を設定しておくなどの工夫が必要となります。

まとめ

以上のように、相続は決して相続税額を抑えればよいというものではなく、各相続人の意向をふまえて、必要なタイミングでできる限り多くの財産を渡せるよう、様々なルールを駆使して設計すべきものです。

当研究所では、様々な分野の業務に精通した弁護士・公認会計士が、できる限り相続関係者全員の希望に沿った相続を実現すべく、法務や税務、様々な領域のルールや手法を駆使して、理想的な相続の実現に貢献いたします。まずは、下記より、お気軽にご相談ください。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました