事業承継に適したタイミングとそこに至るまでの準備事項

相続・事業承継

事業承継の成否はタイミングに大きく影響される

事業承継は非常に大変な作業です。いつかはやらなければならないことであるため、どこかで覚悟を決めて前に進む必要がありますが、経営者の一存で事業承継をすると決めてもなかなかうまくいかないことがあります。それは、事業承継に関わる関係者が多く、そのすべてが、経営者のその判断を支援してくれるとは限らないからです。

事業承継により経営者が変わると、少なからず企業の体質は変わります。これを快く思わない従業員は高い確率で発生し、離職や造反の火種となりかねません。本稿では、事業承継における従業員の気持ちにフォーカスして、失敗リスクを低減する手法を整理します。

日本人は変化を嫌う

一般論として、日本人は外国人に比べて、安定を好み、変化を嫌い、現状維持に心地よさを感じます。そのため、前経営者の体制に満足していればいるほど、経営者の交代によりそれまで安住していた環境が奪われることに抵抗を感じがちです。特に、高齢の高所得者など、前経営者のもとで一種の既得権益のような待遇を受けている層は、必死にその地位を守ろうと抵抗することが予想されます。

他方で経営者の目線から考えると、経営者の交代は、これまでなあなあにしてきた組織の非効率な部分を正す機会でもあり、上記の既得権益のような状況があれば、これを是正する絶好のチャンスであり、逃す手はありません。こうなると、従業員vs後継者の構図に発展してしまい、事業承継がうまくいかないリスクが高まってしまいます。

事業は今、好調か

事業承継のタイミングを考えるうえで、1つ大事な観点としては、事業が今、好調か不調かという点です。事業が好調であれば、これまでの前経営者のやり方を変えるべき部分は少なく、従業員からも、経営者の交代に伴うリストラや減給の危機を感じる可能性が低いため、スムーズにほぼ現状に近いまま事業承継を完遂し、その後に、後継者が少しずつ自身の考える経営を進めていくことが可能となります

他方で、事業が不調であれば、事業承継を機に従前のやり方を改めたり、余剰人員のリストラや減給なども検討せざるをえません。当然、従業員はこれに反発し、事業承継を円滑に進めることは困難となります。事業承継の失敗例の多くは、なかなか踏み切れず、業績の悪い時に切羽詰まって事業承継を行わざるを得なくなったケースがかなりの割合を占めます。

従業員に変化の受け入れを促し続ける

事業承継をいつ行うかは未定であっても、近い将来必ず行うのであれば、早めに従業員にそのことを伝え、将来にわたって変化が必ず必要であることを伝え続けることが大事です。最初は従業員は反発し、事業承継の後ろ倒しを要求してくるでしょう。しかし、そうしたやりとりと時間の経過の中で少しずつ従業員も変化を受け入れやすくなっていき、一定の時間を経ると、抵抗少なく後継者のやり方にシフトすることが可能となっていきます

事業承継を実際に行う際に業績が良いか悪いかはわかりません。そのため、事業承継を考えたら早めに、こうした従業員の意識改革は始めたほうがよいでしょう。

まとめ

事業承継は企業の一大イベントであり、入念な準備が早い段階から必要となります。当研究所では、経営に詳しい弁護士・公認会計士が、事業承継を思い立った段階から、円滑かつ効率的な計画設計のご相談に対応しております。もちろん、相談のみのスポット対応も受け付けております。下記よりお気軽にご相談ください。

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