顧問弁護士の対応で優秀さがわかる
私は財務局、特許庁、運輸局と、3つの省庁で弁護士として勤務してきました。その業務の中では、企業の顧問弁護士と折衝することもしばしばありました。このように、行政の立場で弁護士の活動を見ていると、誰が優秀で誰が手抜きをしているか結構簡単に見えてきました。そのような経験をふまえ、良いと思ったことは私も積極的に取り入れていっていますが、今日はこのポイントを整理したいと思います。
顧問弁護士は企業の意思を代弁する。それは当然だが・・
行政庁が企業の顧問弁護士等と折衝するのは、企業の活動が何らかのかたちで法に触れる可能性がある場合が多いです。もちろん、そこで引き下がるのであれば顧問弁護士が出てくる必要もないため、弁護士が出てくるのは、行政庁が法に触れると考えているのに対し、企業は触れないと考えている場合が多いです。
この場合、顧問弁護士は、企業の活動は法に触れない、と主張するわけですが、特に、企業側の主張が無理筋なケースで、弁護士の力量がよく現れます。
ありがちなのは、企業の考え方をそのまま忠実に再現するだけの弁護士。筋の良い件ではこれでよいのですが、本当は法律上難しいことを、結論ありきで決定している案件などでは、これでは弁護士が入っても何も進展しません。
顧問弁護士に求められる役割① ゴールに向けた理論武装を行う
優れた弁護士は、このように安易な代弁は行わず、きちんと理論武装して自分の言葉で説得的な話をされます。筋の悪い主張であっても、相手が反論しにくい構成をきちんと組み立てて簡単に話を相手ペースで進められないよう考えて行動します。
弁護士は法の専門家であり、論理活用のトレーニングを積んでいます。ただ、顧客企業の考えをなぞるだけでなく、それをどう主張すれば共感を得やすいか、構成の組み立てが、求められる役割として大きいです。
顧問弁護士に求められる役割② リスクを見極め、撤退のタイミングを助言する
裁判を進めて行くと、裁判官が和解による解決を提案してきます。この提案内容をふまえ、弁護士は敗訴リスクを推し量り、判決を求めるか、和解で解決するか戦略を練ります。これは、契約交渉でも不祥事対応でも、行政庁との折衝でも基本構造は同じで、企業の主張を押し込みつつも、それによるリスクをきちんと見極めて、退くべきタイミングには退くことを提案するのも顧問弁護士の大事な役割です。訴訟では裁判官がこのシグナルをわかりゃすく出してくれるため、判断を誤る弁護士は少ないですが、その他の場面では闇雲に主張だけ推し進めて、撤退を考慮しない方が時々おられます。
まとめ
以上を整理すると、顧問弁護士として優秀な方は、きちんと法的構成を練って自分の言葉で主張ができ、リスクを見極めて柔軟な対応ができることが多いです。
当研究所では経営に詳しく、そのほか、多様なバックグラウンドを有する弁護士が、御社の発展に広い範囲にわたって対応いたします。下記よりお気軽にご相談ください。
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