突然の相続発生時の手続の順序

相続・事業承継

まずは遺言書の有無を確認

親が突然亡くなり、急に相続手続が始まる、ということは意外に結構あり、何から手をつければよいか混乱したまま、時間だけが過ぎる、という結果にちながりがちです。本稿ではこうした突然の相続発生時の手順を整理したいと思います。

まず初めにすべきは遺言書の有無の確認です。遺言書の存在を見落として、相続人であれこれ協議しても無駄に終わるケースが多いからです

遺言書には自筆証書遺言と、公正証書遺言とがあります。後者は公証役場で作成しますので、過去に弁護士や公証人と相談した形跡がある場合にはそちらをあたる必要があります。

自筆証書遺言は、机の奥に隠されていたり、存在しても無効となる可能性もありで、ややこしいですが、近時、法務局でこれを保管する制度も使用され始めていますので、こうしたところをあたることも重要です。

次に相続財産のリストアップ

遺言書が存在すれば、おおよその相続財産はそこに記載されていると思うため、安心ですが、遺言書がない場合、まずは相続財産をすべて洗い出す必要があります。

不動産等価値の大きな資産は、生前、何を保有していたか情報を有していることが多いため、見落としは少ないと思いますが、死亡直前に移転登記していないか、最新の登記を確認すべきでしょう。

次に大きな資産は預金です。通帳が残っているものは記帳すればよいだけですが、通帳を紛失したり、近時、通帳を不発行とする方も増えています。その場合、生活費はどこから出てきたのか、通院費はどこから出てきたかなど、想像力をめぐらせて、口座の有無を確認していきます

逆に、日用品や衣服など、価値の低いものは逐一相続財産とはせず、適宜に形見分けをすればよいでしょう。

相続人の確定

相続が発生したということは相続人も確定します。そこで、戸籍を用いて確実にこれを特定しましょう。生前、誰が相続人であれか整理済の方はこの作業を軽視しがちですが、相続発生直前に先順位の相続人が亡くなっていたり、養子縁組が発生しているなどにより、ここが変動している可能性もあるため、注意が必要です。

遺産分割協議

相続人と相続財産が整理されれば遺産分割協議を始めます。ここで揉めると裁判所での手続となりますが、多くの場合、皆、仕事をしていると思われるため、定期的に裁判所へ行って手続をするのは負担が大きいと考えられます。

厄介なのは、生前の被相続人への貢献度を主張する寄与分の争点がある場合ですが、そうした争点のない場合は、できる限り、法定相続分をベースに穏便に解決するよう心掛けるのが得策です

相続税の申告・納税

遺産分割が終了した後、相続税の申告を忘れてはなりません。「申告しなくてもバレないだろう」と考える人ほど、その後、思わぬタイミングで税務署から指摘されて大変な思いをすることとなります。

相続財産の総額が基礎控除額を上回る場合、早い段階から税理士の助言を受けながら手続を進めると確実です

まとめ

急な相続発生時はパニックを起こしがちですが、1つ1つ丁寧に進めて行けば、多くの場合、そう複雑なものではありません。

当研究所では、相続税にも詳しい弁護士が、ややこしい相続問題をワンストップですべて解決に導きます。下記よりお気軽にご相談ください。

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