「知財ガバナンス」とは
2021年より、企業統治の基本であるコーポレートガバナンスコードが改訂され、その中で、知的財産は人的資本に対する開示の拡充が盛り込まれました。
コーポレートガバナンスコードは多くの企業が参照し、自社のより良い姿を目指すために、日々試行錯誤しています。その際には、法律の専門家である弁護士や、会計の専門家である公認会計士の助言を得ながら進めていくことも多いでしょう。
知財のコーポレートガバナンスも同様に、法律の専門家である弁護士、会計の専門家である公認会計士、そして知的財産の専門家である弁理士の協働により、企業の理想を実現する大事な方策を見出すことが可能となります。
知的資産の範囲の確定
知財ガバナンスの最初には、まずは自社において重視する知的資産を確定することが重要です。従前、知的資産とは、法律上の知的財産権と同義であると解されがちでしたが、今回改訂されたコーポレートガバナンスコードでは、顧客リストやノウハウといった無形資産も知的資産に含まれるとされ、こうした広義の知的資産の中から、自社においてどれを重要視するか選別する作業が最初に必要です。
知財戦略および情報開示戦略の策定
知的資産の範囲を確定した後は、その資産をどのように継続的に算出し、経済的価値を増大させ、利益に還元させるかという戦略の策定を行います。また、企業のステークホルダーへの情報開示が今後ますます拡充されることから、開示できる情報と開示できない情報とを確実に選別し、前者をどのように効果的に開示して、企業への信頼や、投資を呼び込むかについても戦略の策定が必要になります。
成果の測定と管理の強化
知的資産に関する戦略が策定され、活動が動いていくと、一定のタイミングで定期的に成果を測定する必要があります。そこで、そのための適切なKPIを経営目線で設定し、成果を測定します。測定結果の良否に関わらず、事業活動上気がかりなことはただちに経営層内部で共有したうえで、知的財産の広義のマネジメントのあり方が正しいか、より良い手法、より強化の必要性がないか検討のうえ、実践することとなります。
監督体制の構築
知財ガバナンスとして、知的財産に関わる事業活動全体の重要性が増すとうことは、これに対する監督の必要性も増すということ。適切な投資がなされているか、研究開発費の水準・内容は適切か、権利の取引価格の決定は公正に行われているかなど、「ガバナンス」として、広く事業活動の監督体制の構築が必要となります。
まとめ
以上のように、知財ガバナンスとは、もはや知財に関する事業を1事業部門として、これを企業レベルに高度化し、統治する作業であり、弁護士・公認会計士・弁理士による高度な連携を要するものです。当研究所では、弁護士・公認会計士・弁理士を兼任し、いずれの分野においても大手事務所において大企業のサポート業務経験の豊富な専門家が、御社の知財ガバナンスの高度化に貢献いたします。下記より、お気軽にご相談ください。
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