戦略目標は数値目標とすることが基本中の基本
何かに取り組む際、ただやっただけでは足りず、きちんと成果を検証する必要があります。そのために、目標数値を定めて、その達成度を測ることは基本中の基本です。例えばESGへの取り組みとして、女性役員や女性従業員の割合を何年までに何割に増やす、といった目標です。数値目標を設定するのは、客観的に検証可能であるうえ、仮に達成できなくとも、達成度を推し量ることができ点で有用です。
予測不能な事象への対応能力
コロナ禍やウクライナ情勢など、世の中には予測不能な重大な出来事が当たり前のように日々起こっています。コロナ禍で倒産した企業はたくさんあります。そうした企業はコロナ禍を予測できなかったから倒産したのでしょうか?いえ、コロナ禍を予測できた人などほとんどいません。予測不能な事象に対して、これに応える余力を有していなかったり、環境への対応、例えば飲食業であれば需要の急増したデリバリー業務への転換等に踏み切れなかったことなどが、本質的な原因でしょう。
リスクマネジメントとしては、予測不能なリスクへの対応能力も求められます。予測不能なことがあっても生きていかなければならないからです。そのため、こうした対応能力を日々培うことも大事です。
過度の締め付けは不正やコンプライアンス違反の引き金となる
数値目標の話に戻りますが、時々、数値を最大化することが絶対正義であるとして、従業員に過度の締め付けを行う企業の報道があります。例えば売上至上主義で厳しいノルマが課せられるなどです。こうした企業の経営者は正しいことをやっていると信じているのでしょうが、こうした企業がポジティブに報道されることは少ないです。
厳しい締め付けは、達成していない目標を達成したように装う不正や、社内いじめなどのコンプライアンス違反を引き起こすことが多く、また、このようにギチギチのノルマを課していると、前項の予測不能な事象への対応は大きく後手に回ってしまうでしょう。
柔軟さを残すことが大事
つまり、ギチギチに数値目標で従業員を縛るのではなく、ある程度のレジリエンス(柔軟性)を残しておくことがリスク管理上重要です。余力を残すことはその1つですが、必ずしも余力を残すことだけが柔軟性ではありません。勤務時間や勤務方法を各自の裁量に任せたり、合理性を欠いた社内ルールはあえて適用しないなどといった行為もこれに含まれます。
まとめ
目標数値を設定してそこに向けて頑張るのは基本中の基本ですが、組織の成果を最大化しようと過度に厳しい数値目標を設定すると、リスクマネジメント上は悪手になることもあり、バランスのとれた目標設定が大事です。
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