飲食業の失敗事例から学ぶ、リスクマネジメントの根本的な考え方

リスクマネジメント

飲食業においては衛生に関する事件は致命的

大手外食チェーン店の厨房にナメクジが出たとか、ポテトのパックの中にゴキブリの足が入っていたとか、外食産業において、衛生に関する事件が時々報道されます。日本では食事は衛生的であることが当然であるため、こうした事件は致命的となります。リスクマネジメントの観点からは、絶対に回避一択です。そこで、本稿では、飲食業でのこうした失敗事例をもとに、回避しなければならないリスクに対する対応方法を整理します。

原因は内にあり

さて、こうした事件の報道を見ていると、リスクの直接的な原因は、現場で働く従業員の心構えにありそうです。厨房にナメクジやゴキブリがいたのであれば、忙しさにかまけて清掃が疎かになっていたことの証左であり、これが外部に流出するのは、現場に不満をもった内部からの犯行である可能性も高いからです。

飲食業は時間により大変ハードワークとなる反面、賃金はあまり上がっていないと言われます。そのため、現場への不満から意趣返しが起こるのであれば、賃金や教育体制を中心に、事業運営全体を見直す必要があるでしょう

サービス業は顧客との接点が「真実の瞬間」

飲食業は言わずと知れたサービス業です。サービス業は顧客との接点が最も重要な時間で、しばしば「真実の瞬間」だとも言われます。顧客に対して精一杯のサービスをすることで、顧客はお店のファンになり、リピートする、その繰り返しによりブランドが生じます。また、顧客との接点の中で顧客ニーズを把握し、これを提供することが、将来に向けた戦略として有効です

外食産業、特に回転率を意識するファーストフード業界は、飲食業をサービス業よりは小売業、すなわち、モノの提供で仕事が終わると勘違いしてしまいがちであり、こうした失敗が起こりがちです。

サービスとコスパとの調整

さて、いくらサービス業であっても、高価格帯商品を持たないファーストフード店等では、業務効率や店のコスパを考えて仕事をせざるを得ません。

ここで、マクドナルドの仕事を見てみましょう。マクドナルドの店員はアルバイトでもきちんとサービス教育がなされます。しかし、最繁忙期である午後0時代はまるで戦場のようで、お客に投げつけるように商品を渡すこともあれば、注文商品を間違えることも頻発しています。それは、あれだけのお客を限られた人数で裁くのであれば人間の能力の限界に近づいていると私は感じるため、ミスがあっても咎めることはできません。

大事なのはこの後で、マクドナルドの店員は空いている時間帯はマニュアル通り丁寧に接客しますし、手の空いた店員がいたら、店内の片づけや清掃など、衛生管理に余念がありません。

このように、コスパが大事な局面ではサービスは後退するものの、それ以外の時間で、サービス意識が高く、これにより不祥事はあまり起こりません

まとめ

接客に近い領域で、リスクマネジメントのリスク回避を目指す場合、トップダウンで経営者層から末端のアルバイトまで、サービス意識を徹底して意識させ、相応の教育を行うことが必要です。器用に仕事をこなせる人材でも、この点の意識の低さが治らない従業員は早期に辞めてもらう必要があるかもしれません。リスク回避一択である以上、この点に関してぶれずに一切の隙を作らないことが必要です

当研究所では、様々な分野の事業活動にも詳しい弁護士・公認会計士が様々な観点からリスク回避戦略のご相談に対応しております。下記よりお気軽にご相談ください。

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