不祥事対応を根本的に誤ったケース
不祥事対応として、隠ぺいできる事実は徹底的に隠ぺいし、自社に都合の良いシナリオを役員ではなく、第三者委員会に述べさせて社会的信頼を回復しようとする。
これ、100点満点の0点の対応です。
企業が情報を出し切っていない、第三者委員会は所詮、企業に金で雇われた存在、そうしたことは素人でもわかります。ここに、事実でない推測までついてまわって収拾がつかない事態に陥ってしまいます。
不祥事対応は、まずは原因を把握してその抜本的改善を図ること。その過程で、特定の人物を庇おうとすると、さらに不祥事を大きくしかねません。
原因の把握とその改善を完遂してようやくスタートライン
不祥事の原因が例えば、特定の役員の傲慢によるものとします。この役員は解任しない以外の選択肢はあり得ません。対象役員を解任したうえで、再度、残った役員に対して社長から、倫理面を中心とした徹底した再教育を施すことが不可欠です。
しかし、これを行うのは当然の前提で、これをすれば社会の信頼が回復するわけではありません。
きちんと対応したことを繰り返し、丁寧に発信し続けて、社会の了解を得る活動が不可欠で、実際の不祥事対応はこちらの活動の方が大変です。
マスメディアに積極的に報じてもらう仕組み作りが大事
情報発信というと、近時、SNSでの発信力が高まっていますが、1企業において、SNSの効果はそれほど高くありません。それよりも、マスメディアをうまく活用することが重要です。
当然、マスメデイァは「売れる記事」の作成に全力を尽くすため、企業にとって都合の良い記事を書いてくれといっていう通りにするわけもなく、逆に事実の隠ぺいを感じた場合、その事実を暴きにかかるものです。
そのため、「マスメディアには余計なことは話すな」という方も時々おられますが、これも0点の対応です。
マスメデイァに気持ちよく記事を作成してもらえるよう、積極的に題材を提供するのが望ましいのです。
そのためには、不祥事の原因追及から改善対応まできちんと一般人が納得し得るストーリーを徹底的に作り上げることが大事です。
対応は粘り強く
近時、批判されるべきことをした者には、執拗に批判が繰り返されることがあります。これはある程度はやむをえません。しかし、きちんと世間が納得する対応をした後まで、執拗な攻撃を続ける人へは、どこかで社会の目も変わっていきます。大事なのは隠し事をせずにやるべき対応を続けることと、謝り続けることです。
まとめ
弁護士や公認会計士に不祥事対応の仕事が回ってくる際、どうしても、一定の不利益な事実を隠蔽し、会社が既に用意したシナリオでの収拾を依頼される場合がありますが、これは間違いなく悪手です。中期目線で、少しでも世間の批判を合理的に収めるのが企業価値の維持に必要な行為で、そのためには、事実を隠すことなく、原因を根本的に改善することが不可欠です。
当研究所では、弁護士・公認会計士双方の立場から経験豊富な、経営にも詳しい専門家が不祥事の着実な鎮火に尽力いたします。下記よりお気軽にご相談ください。
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