デパートの事業再生が増加中
百貨店の廃業や事業再生の数が増えています。もとより客離れが進んでいた業界ですが、コロナ禍での外出自粛もあり、客の減少がさらに進んだかたちです。
事業再生のケースを見ていると、どの店舗も大変苦労して事業計画を作成していることが見て取れます。本稿ではこうしたデパートの再生事例から駅前物件の在り方を考察します。
オフィスビルへの転用が最も無難
デパートの経営者はもちろん、事業再生の在り方として、借金の方を何とかして現行の総合販売店の形態を維持したいと考えます。しかし、デパートの再生事例として、以前と同程度の規模の売り場を確保した事例はほとんどありません。
最も多いのは、規模を縮小して、高層階をオフィスに転用すること。駅前ビルであればオフィス需要は多いため、これが最も無難な手法です。
都心部はコンセプトを明確にした商業施設にして生き残り可能
人の多い首都圏などでは、百貨店の形態ではなく、コンセプトを明確に打ち出した商業施設として個性を出すことで、他の商業施設と差別化して集客するケースもあります。
ただ、最初は人気を得ても、人の嗜好や社会のトレンドは変わりやすいもので、いかに中長期的に集客を維持していくかは工夫が必要です。
地方では情報の発信源としての機能が求められる
百貨店に人気がなくなったのは、モノはどこでも手に入り、必ずしも百貨店に行かなければならないわけではないからです。そうした中で、地方の駅前ビルに求められる機能は、ネットでは入手しにくい情報の発信源であると言われています。情報があると人が集まる。人が集まると情報も集まるという好循環を駅前で起こすような仕組みを検討するケースが増えています。
まとめ
事業再生は第二創業。従前の事業はいったん頭から切り離して、どのような事業をすれば集客できるのかゼロベースでとことん考え抜くことが必要です。デパート業界の苦労は決して対岸の火事ではなく、おそらくどのような業界でも一度傾いた業績を立て直す際には大幅な変化を覚悟しなければならないかもしれません。
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