皮肉な逆転現象!「キャラ弁」などをめぐる著作権の仕組み

知財戦略

著作権は難しい

漫画やアニメのキャラを自身で描いたイラストをどこまで使って良いでしょうか?
この問に答えられるのは著作権の取り扱いに慣れた専門家だけだと思われます。なぜなら、著作権はかなり複雑で、逆転現象が起きやすいからです。本稿では、自作のキャライラストを題材にこの逆転現象を説明したいと思います。

上手いほうが違法になる

先日、とある人気漫画キャラをオリジナルで模したケーキを販売した業者が摘発されました。人気キャラを勝手に商品化して売れば違法、この結論は誰でも容易に理解できると思いますが、理屈はなかなか難解です。
著作権侵害となるためには、①相手の作品に創作性があること②侵害者がその作品に依拠して製作したこと③相手の作品と侵害者の作品の間に類似性があること、が必要です。
ここで、人気漫画キャラは当然に①を充たし、これを模せば②③も容易に立証できるでしょう。
しかし③をよくよくつきつめると、下手な人や、巧みにオリジナリティを加えて改変(こちらは別で問題が生じそうですが)する人は逃げられるということです。
モノマネが上手い人は違法で、下手な人は違法でないというのは皮肉な話です。

私的利用は合法だが・・SNSはダメ!

著作権法の難しい部分の1つに、営利行為に使用すれば、例えば学校の文化祭で、人気キャラを描いたクレープを1枚売っただけでも違法ですが、私的利用は合法だということです。例えば美術部で、校内で鑑賞するためだけに絵を描いたり、母親が子どもに「キャラ弁」や「キャラ手提げ」などを作って持たせるのは全く問題ありません。
しかし、「うまくできた」と、その絵やお弁当をSNSにアップしてしまうとアウト!今度は著作者の公衆送信されない権利を害してしまうおそれが生じるためです。

インスタやYouTubeでいっぱい上がっている理由

SNSでアップしたら違法となる可能性が高い、のですが、現実にはインスタを見てもYouTubeを見ても、人気キャラを模したイラストなどはいくらでも落ちています。これは、アップしても違法でないというわけではなく、
・件数が多すぎて対処しきれない
・インプレッションの低い投稿は相手するだけ損
・インフルエンサーなどの投稿は逆に本体の宣伝や知名度アップにつながる
といった理由が背景にあります。小者だから相手にされないという前二者と異なり、後者は「有名だから許す」という理屈で、ここにも皮肉な逆転現象が生じています。

まとめ

こうして著作権は大変難解で、細かい抜け道がたくさんあるため、経験豊富な専門家でなければ正しく読み解くことは困難です
当研究所では、特許庁・知財専門法律事務所・弁理士法人にすべて在職経験のある弁護士・弁理士が御社の知財戦略策定に対応します。下記よりお気軽にご相談ください。

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