リスクマネジメントの重要性
変化の激しい今の情勢の中では、企業をとりまくリスクは従前に比べて読みにくく、かつ、複数のリスクが絡み合った複合リスクも増加しており、手を焼くケースが増えています。そのため、リスクマネジメントの方策を練り、想定可能なリスクには確実に対応すること、想定不能なリスクには傷口を広げない柔軟な対応をすることの重要性がますます増しています。
行動規範はシンプルかつ常識的内容に
リスクマネジメント、特に内部リスクを最小限に抑えようとする方策は、組織内の規範作りで対応することが多いです。例えば、従業員による会社財産の横領のリスクに対応するために、複数の人間による会社財産残高の確認作業を定期的に行うことなどです。
このように、主に内部リスクへの対応に関してはトップダウンで行動規範を作成して遵守を求めることが多いと思われますが、注意点が2つあります。
まずは内容がシンプルであること。行動規範が複雑になると、従業員はストレスを抱えます。そうすると、本業が疎かになったり、本業の忙しさにかまけて、行動規範の方をなあなあにしてしまいがちです。
次に、行動規範の内容が常識的であることが必要です。従業員による会社財産の横領リスクは大変なものですが、だからといって、そのチェックに10人もの体制で厳密に行うと、本業の業務効率性も害されますし、現場も混乱すると思われます。
全員への意識づけ
リスクマネジメントを、保険加入などにより外部へ転嫁するかたち以外で行うのであれば、リスクマネジメントのプレーヤーは組織の構成員全員です。全員がきちんと役割を果たしてリスクを提言することの意義や重要性を朝礼等できちんと説明して、理解を促すことが重要です。
特に、品行方正で自他ともに「絶対にルールには反しない」と考えられている模範的な従業員は、自分に自信があるため、こうした縛りを軽視しがちですが、リスクマネジメントは自分がリスクを生じさせないことばかりではなく、他人がリスクを生じさせるおそれを未然に防ぐ機能もあることの理解を促し、相互監視に協力いただくよう努める必要があります。
なぜこれを行うのか、理解を促す
行動規範を策定したとして、1つ1つの規範についてなぜそれを行うのかを、きちんと理解してもらう必要があります。
たとえば一昔前までの紙社会では、重要な書類等は、回覧に回されて、読んだ人間は押印するという手続が行われていました。組織の重要な情報を共有するとともに、何らかのリスクが予見されるのであれば速やかに組織に提言して対応する、という目的もある制度でした。
これが、例えばテレワークが発達し、電子回覧となった場合、機械的に閲覧済に処理したり、リスクを予見しても組織での共有を面倒くさがってしまうケースが想定されます。そうならないためにも、1つ1つのルールの意義と、それに伴い求められる役割の理解を促すことが大事です。
まとめ
以上のように、リスクマネジメントは組織全員が当事者であるという意識を促すとともに、シンプルなルールを設け、そのルールにどのような意味があり、各自に何が求められているのかを成果うに理解させる必要があります。
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