もしも経営コンサルタントが10年甲子園から遠ざかっている強豪校の監督になったら

コンサルティング

優良企業のはずなのに成果が出ない理由を高校野球に例えて解説します

この話は企業経営に関する内容ですが、少し趣向をこらして高校野球を題材にします。

対象とするA高校はプロ選手を多数は輩出する野球名門校。レギュラー卒業生はほぼ漏れなくプロか関東の強豪大学に進学します。甲子園に連続出場した時期もありましたが、ここ10年は県大会で敗れ、出場できていません。経営コンサルタントのB氏は同校校長の依頼を受け、同校を甲子園に導くべく野球部の監督に就任しました。

成功の罠

B氏が部の実情を調査した結果、部は非常に風通しの良い組織であることを第一感感じました。しごきやいじめ等は一切なく、民主的に練習メニューが決められ、各選手が自主的に練習を頑張る環境が整っていました。OBもしばしばグランドを訪れ、後輩に積極的なアドバイスを行っています。

しかし、B氏はここに問題があると感じました。選手が先輩を尊敬し過ぎ、その意見を完全に鵜呑みにしているのです。過去に甲子園に出場した先輩は先輩らのやり方や信条があります。それを鵜呑みにしていれば勝てる、レギュラーになって良い大学へ行けると思っているのです。すなわち成功の罠にはまっていたのでした。

失敗の罠

練習試合にあたり、B氏は選手の自主性を重んじ、戦術はすべて選手に任せてみました。すると、選手たちはマニュアル的な戦術に徹し、意表をついたプレーやギャンブル的なプレーは一切行いませんでした。

「やってもどうせ失敗する」レギュラーを外されることのおそれから、失敗を極度に恐れ、失敗リスクを過度に見積もってしまてちたのでした。このように「どうせ失敗する」と思ってしまうことを失敗の罠と呼びます

B氏はチームが毎年いいところまで勝ち上がりながら優勝しきれないのは、どこかに「どうせ優勝できない」という意識があるからだと勘づきました。

組織変革の2つの手法

何らかのかたちで組織変革しなければならないチームですが、方策は主に2つあります。
1つは監督の熱い意志を選手に伝えてチームの意識を変えること。2つは意識改革可能なメンバーを切り離して別チームを作ることです

B氏はまず前者を試みましたが、選手はより年齢の近い先輩の意見をより尊重し、新参者のB氏の話を聞こうとはしませんでした。

そこでB氏は、意識改革ができそうなメンバーを下級生中心に選抜し、「セカンドチーム」を起ち上げ、主力チームは部長先生に任せて専らセカンドチームの指導にあたりました。名門校であったため、セカンドチームでも練習試合の相手には困りません。こうして意識改革したチームを育て、主力チームと競争させることでチームの意識を少しずつ変えていくことに成功しました。

まとめ

優れたメンバーに恵まれた企業であってもこのように罠にはまって成果を出し切れないことがしばしばあります。その際は、トップダウンで抜本的な意識改をするか、組織を分離して前向きなセカンドユニットを作るかの2つがセオリーとなります。

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