フジテレビが中居氏問題で大苦境に
中居氏の問題で、フジテレビが大ピンチに陥っています。中居氏の女性トラブルを会社ぐるみでサポートしていた疑いがあり、その疑いが晴れるまで、多数の企業が同社へのCMを差し控える対応を始めています。この流れが続くと、同社の財務には数十億規模で影響が及ぶ可能性があります。
そんな中、当事者ではないTBSが素早く「他人の振り見て我が振り直せ」を実行し、注目を集めています。
そこで本稿では、TBSがなぜ関係ないフジのケースに乗っかったか、そしてその効果を整理します。
人権コンプライアンスは組織の致命傷に
近時、世界中で実質的平等が提唱されています。LGBTでは性差別の根絶が訴えられ、SDGsでは貧困国の人間の引き上げが強く意識されています。世界中で平等が提唱されている中で、日本では依然として女性を「不当に」軽く扱ったり、仕事や運動のできない人間を「過度に」軽く扱って平然としている人が、特に大きな組織でいるのが実情です。
こうした人権を蔑ろにする言動は、世界的な潮流から、ネットで簡単に炎上しやすく、そうなると信頼回復は容易ではなくなります。
そのため、どんな組織でもできる人間ばかり優遇するのではなく、むしろ弱者を引き上げる意識を植え込んでいかなければ、人権や平等の意識は高まらず、どこかで致命傷を負う可能性があります。
リスクは早く把握した方がメリットが大きい
フジテレビに関しては昔から内輪ウケの組織文化が強く、女性蔑視のリスクは高いと言われていましたが、今回TBSが当事者ではないのに社内調査に入ったのは、同業者としてリスクを抱えている可能性を認識し、そのリスクを早めに把握することを強調したものだと考えられます。
フジテレビの今回の問題の原因が昔ながらの内輪ウケの組織文化であれば、社長の一存でこれを矯正することは可能だったはずです。TBSの意図は、もし自社も同様のリスクを抱えているのであれば一刻も早く対応して大事になる前に解決する、そのことを意識したものだと考えられます。
早くリスクを把握すれば実効性ある解決策がとれる
こうして早くリスクを把握すれば、「事件」が起きる前に対処ができます。既に事件の端緒があればその発覚を先延ばししてその間に対策を講じることもできますし、事件の端緒がなければ対応策の構築に時間制限があまりありません。
時間があればあるほど効果的な施策を講じられるのは大きなメリットで、いかなるリスクマネジメントであっても、早めに察知して早めに対応することで、抜本的な解決に近づけることが最初に目指すべきポイントです。
早くリスクを把握すれば損害を軽減できる
早くリスクに気づいて対応すると、積極的損害・消極的損害双方を軽減することができます。
社内で性加害があった場合、早く気付くほど加害期間を縮小し、損害賠償義務を軽減することができます。また、信用失墜の程度も期間が短いほど軽微で、このTBSの対応は、フジテレビの後手後手の対応と比較されてかなり賞賛されるという想定以上の成果につながりつつあります。リスクマネジメントは早く対応すればするほど財産的効果にも直接的に効いてくるのが大きいことも大きなメリットとなります。
まとめ
競合他社に不祥事があった場合、自社は関係ない振りをするのが一般的ですが、もしその不祥事が少しでも、自社でも起こり得るものだと感じた場合、我がことと思い、社内調査し、リスクマネジメントをすることで非常に多くのものを守り切ることができます。
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