船井電機の倒産手続が事件の疑い
船井電機が破産申請を行いましたが、会長が破産の取消を求めるなど、ドタバタしています。この件、船井電機の収益性が悪化したのは事実ですが、その後M&Aで経営者が変わった後、現金預金が短期間で消失して破産という奇妙なプロセスを経ています。
本稿では、船井電機の事実関係には一切触れませんが、一般論としてM&Aが危険であることを説明します。
M&Aは身近な存在
M&Aというと大企業が行うものと思われがちですが、そうではありません。最近では後継者のいない企業がM&Aで事業承継をするケースも増え得います。
そうした企業は、本当は信頼できる方に事業承継したかったのでしょうが、信頼できる相手がいなかったためM&Aに頼らざるを得なかったという面があります。そこに負い目があるうえ、M&Aをすると経営判断は承継者に任せざるを得ないため、承継者の思うがままにことを進められる危険が増加します。
狙われる企業の特徴
こうして悪質な相手に狙われる企業にはいくつかの特徴があります。
代表的なのは、現金預金は豊富だが営業キャッシュフローがマイナスの企業。現金預金が豊富な企業はそれを吸い上げる価値がありますし、営業CFがマイナスであると、そのテコ入れが必要であることから、いろんな策を講じる口実を与えてしまうためです。
近時、M&A型の事業承継でこうした企業が狙われがちであることがよく報道されています。
このほか、レアな不動産や無形資産を有している企業も、その資産を換金すれば同様の状態となるため狙われやすいです。
現金吸い上げの手法
現金預金が豊富であればその吸い上げ手法は多様です。特に営業CFがマイナスの企業では、これをプラスにするために専門家を入れるという判断を否定する理由は乏しく、どんどん外部専門家を入れて費用を支払うというスキームが成立してしまいます。
M&A後ではこうした施策に反対できる可能性は乏しいので、その前に怪しい提携先は排除しなければなりません。
決断は慎重に、そしてコミュニケーションを綿密に
M&A後では遅いため、こうしたケースを防ぐためにはM&A契約の締結前に相手が信頼できるかを見極め、事業再生や事業承継の施策についてしっかりとコミュニケーションを尽くす必要があります。
承継者に丸投げは論外で、しっかりと方針を共有し、場合によってはその方針を契約上明記することで、現金御金狙いの悪質業者の多くは排除可能です。
まとめ
以上のょうに、M&Aを完了すれば安心だ、というわけではなく、その契約前にしっかりと相手と承継後の方針を見極める必要があります。
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