改めて考える「AIに奪われる仕事」とAIとの「付き合い方」

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10年前の「AIに奪われる仕事」が全然的外れ

10年前の「AIに奪われる仕事」の内容が話題となっています。2015年の野村総研のレポートにおいて、人工知能やロボットなどに代替される「可能性の高い仕事」の候補として、介護職、保育士、調理人、建設作業員、タクシーの運転手などが挙げられていましたが、いずれも深刻な人手不足の中、担い手がおらず、ロボットなどへの代替も難しいのが現状です。
他方で、ロボットなどに代替される「可能性の低い仕事」として、コピーライターやウェブデザイナーなど、フリーライター系の仕事が挙げられていましたが、こうした仕事は最近、フリーランスの活用が広まっているものの、それ以上にAIの発展が目覚ましく、向こう数年で淘汰されそうな勢いです。
そこで本稿では、これからどのような仕事がAIに奪われ、AIとどう付き合っていけばよいかを解説します。

「事務的な仕事」がAIに奪われる?

仕事とAIに関しては私も公認会計士の実務補修所でレポート課題があった際に色々調べましたが、1つの要約として、「事務的な仕事」がAIに奪われるという考えがありました。例えば録音の反訳などは人が行うよりもAIが行った方がよほど早くて効率的です。しかし、人間の仕事は単純作業に見えて複雑な暗黙知が組み込まれていたり、人が行うからこそ価値がある仕事も多いです。前項で奪われる「可能性の高い仕事」に挙げられていた仕事はいずれもそうした仕事で、社会の中で価値のある仕事であるにも関わらず不当に少ない賃金しかもらえていないのが現状で、これは大きな社会課題です。
こうした仕事を人間の目線ベースで機械に任せたい、では話が進まず、こうした機械に代替できない仕事の報酬を増やす社会全体としての取り組みが不可欠です。

「創造的な仕事」はAIに奪われない?

もう1つ目にすることの多い要約として、「創造的な仕事」はAIに奪われないという考えもあります。AIが思考経路を分析できない作業は人間がやるべき仕事ではあるのですが、果たして「創造的な仕事」とは何でしょう?
暗黙知としてのノウハウがあり、それに従って活動する仕事、これはノウハウが明文化されていなくとも、AIが事象と結果の関連性を分析してノウハウを体系化できる可能性があり、そうするとこの仕事は機械に奪われます。文章作成や画像作成、画像認識からの分析は、その判断経過を明らかにするのはAIは苦手ですが、判断経過を明らかにしないまま、事象と結果の関連性を分析して目的物を描き出すのはAIの方が人間よりも得意なのです。そういうわけで、フリーランスが対応している業務は高度な技術を除けば、いずれ機械に奪われる方向に進んでいきそうです。

AIの苦手な2つの仕事

AIには苦手な仕事が2つあると思います。例えば医師の仕事がAIに代替できるかを考えてみましょう。患部の画像を分析して問題点を洗い出す作業は、医師が目視で行うよりも機械の方が得意でしょう。しかし、では機械が医師の仕事をすべて代替できるかというと、そうではありません。医師は患部だけでなく患者の全体を見て最善の治療法を選択します。その治療における思考経路はオンライン上の情報だけでは構築できず、医師が自ら判断しなければなりません。また、治療にあたってもAIはディープラーニングで最適な治療法式までは選べても、実際に他の機械を動かして治療全体を統括したり、イレギュラー対応することまでは難しいです。すなわち、AIは「専門性の高い仕事」と「プロセス統括」が苦手なのです

AIと人との協働の在り方

以上のように、高い専門性を持つプロの仕事はAIに代替できず、そうした専門家のアシスタントが人からAIに変わってきているように思います。AIの得意な情報の検索と分析は任せて、専門家はその結果をふまえて、専門性の高いフィニッシュの仕事の全体統括を行うのが人と機会の望ましい協働体制なのだと思います。そのため、医師とAI、弁護士とAIの協働する場面は今後増えていくと思われ、逆に仕事を奪われるのは看護師や事務員など、専門性の低い仕事の担い手。ただ、看護師や介護士など人を相手にする仕事は、お客が機械ではなく人を選ぶ可能性があるため、まだまだ生き残るかもしれません。
ここは私も悩ましいところで、法律事務所を運営するうえで、事務員かAIかどちらを優先して活用すべきかはまだ決めかねているところです。

まとめ

今日、この記事で書いた内容も数年後には的外れになっているかもしれません。それだけ、AIの発展は目覚ましいですし、そのような社会で我々が生き延びるためには、「自分がやりたいこと」をやろうとすることも大事ですが、「機械のできないこと」をマスターし、機械との役割分担の中で、より良い成果を上げようとする意識が必要ではないかと考えられます。AIに奪われると考えるのではなく、AIを飼い慣らそうとする意識はこれから避けて通れないものと思われます。
当研究所では、法律の高い専門性を活かしながら、ITストラテジストとしてや最新の機械を積極的に導入して、お客様により良い実務の提供を目指しております。ご相談事がありましたら、下記よりお気軽にご相談ください。

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