ローンの残った不動産をスルーしてはいけない

離婚

ローン付の不動産のある夫婦の離婚の方が多い

成田離婚や、熟年離婚という言葉も聞きなれてきましたが、このように結婚後、わずか数年で離婚する夫婦や、年金生活になってから離婚する夫婦の割合はまだまだ限られています。ということは、離婚する夫婦の大多数は中年世代であり、必然的にローンの残った不動産を有しているケースが多いです。

このローン付不動産、離婚調停等では意図的にスルーされることが多いのですが、本稿ではその是非を整理したいと思います。

財産分与は離婚の必須要件ではない

ローン付の不動産についての話し合いがスルーされる一番の要因は、財産分与は離婚時に必ず取り決めなければならない事項ではない点にあります。子どもの親権、養育費等は離婚と同時に決めなければなりませんが、慰謝料や財産分与は離婚とは別に協議することができます。離婚に向けて様々な話をしなければならない中で、とりあえず中核的な話に集中し、財産の話は後回しにする流れが、採用されがちです。

また、ローン付の不動産の場合、迂闊に主張すると、マイナスの財産であった場合、債務を分割する話になりかねません。また、財産分与を主張する側が評価額を証明しなければならないなど、負担が増すことも、主張を慎重になる理由です。

マンションは価値が値あがっている可能性がある

通常は、不動産は時の経過とともに値下がりしますが、都心部のマンションに関しては値上がりしているケースも多く見られます。それは東日本大震災以降、資材の価格が高騰し、マンション建設費がどんどん高騰して新しいマンションほど高値になっていることから、中古マンションの方が買いやすい価格帯であること、マンション建設ラッシュ前の時期のマンションの方が良い立地にあることも多いことなどが理由として挙げられます。

そのため、財産分与を主張したい方は、ローン付でもマンションがあれば必ず弁護士に相談してその価値評価を検討すべきです。

一戸建てはローン完済後に解体費用の負担を負うおそれがある

逆に一戸建ての建物についいては、ローンを完済するような古い建物に価値が付かない可能性が高まります。そうすると、売却する際、建物を解体して更地で売却する必要があり、現在価値よりも減価してしまいます。そのため、こうした不動産を有する側は、財産分与において、将来の解体費用の控除を主張する必要があります。

まとめ

ローン付の不動産は、普通に考えるとオーバーローンでマイナスの財産だと思いますが、丁寧に検討すると実はプラス価値のマンションであったり、予想外に大きなオーバーローンの一戸建てであったりすることもあります。そのため、不動産業者と仲の良い弁護士を通じて賢く査定し、財産分与戦略を練る必要があります。

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