新規事業は既存事業と関連性を有する分野にするのがセオリー
新規事業を立ち上げる場合、既存事業と全く関連性のない分野を選ぼうとすると、おそらく企業外部の関係者は反対し、銀行は融資を渋ります。既存事業と関連性のない分野においては、それまで育んできた自社のリソースや強みがなかなか活用できないからです。
また、新規事業は既存事業と関連付けてシナジーを起こすことが旨味になります。関連した事業であれば、既存事業に対する信頼の高い顧客が新規事業においても顧客になってくれる可能性が高まるなど、良い点がいくつか生じるからです。
新規事業と既存事業が近すぎるとリスク
こうして新規事業と既存事業とは関連付けるのがセオリーですが、近すぎるとカニバリゼーションというリスクが生じます。
例えばラーメンチェーンが、新たに近くにうどんチェーンを開いても、麺を食べたいと思う客を奪い合うだけで、お互いに費用を無駄にしてしまいます。ケーキ屋が新たにドーナツ事業を展開しようとしても、よほどそのドーナツにオリジナリティがなければ、既存の顧客を両店で奪い合うだけになってしまうでしょう。
シナジー設計は難しい
経営関係の本を開くと、ほぼ必ずといってよいほど、シナジーを起こすことの重要性が説かれています。これは基本としては正しいのですが、シナジーは実際は理屈ではなく、なかなか思うように生じさせることはできません。
逆にシナジーを狙いすぎると、共食いのリスクが高まります。シナジーはよほど熟練したコンサルタントの助言以外は、迷信のようなものだと思い、「当たったらラッキー」くらいに思う方がよいかもしれません。
実在するリソースの活用をとことん考える
シナジーをどう起こすかよりも、今、手持ちのリソースをどう活用するかをまずは徹底して考えるべきです。休眠預金があるのに使わない、優れた才能を有する社員がいるのに活躍の場がない、というような無駄をまずはなくす必要があります。前者については金利は低くても安全資産に投資する。後者については、そうした人材が活躍できる新サービスを考える。
こうして自社リソースを最大限活用すると、企業は発展しますし、その先にさらに発展するためにどのようなリソースが必要であるかを発見することもできるでしょう。
まとめ
新規事業の立ち上げは、教科書通りにすれば、シナジー創出を狙うのですが、実際にはカニバリゼーションを避けながら、自社のポテンシャルを少しずつでも引き出していくことが大事です。
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