3月は離婚月間?3月に離婚が増える要因

離婚

3月の離婚は年間総数の10%を超える

3月は離婚件数が特に多いです。2024年に成立した総離婚件数は約19万件ですが、そのうち2万件以上が3月に成立しており、全体の10%を上回っています。年間総数を12で割ると約1万6千件ですから、3月には他の月よりも25%ほど離婚件数が増える計算です。
不倫や暴力など明確な離婚原因は衝動的に発生するもので季節性があるとは考えにくいです。そのため、協議離婚が3月に多いわけですが、3月に離婚すると何かメリットがあるのでしょうか。それとも、3月に夫婦仲が決裂しやすい何かがあるのでしょうか。本稿では3月に離婚件数が増加しやすい背景事情について複数の観点から検討します。

子どもの生活への影響が少ない

3月に離婚、それも3月後半に離婚する夫婦が多い最大の理由は、子どもの生活への影響が少ないことにあると考えられています。離婚後は、多くのケースでは母親が子どもの親権者として一緒に暮らしますが、育児をしながら十分な収入を得られないことも多く、引っ越しを余儀なくされるケースもまた多いです。
転校を伴わない引っ越しでも、子どもにとっては生活が大きく変わって負担が大きいため学校の休みの季節にせざるを得ませんし、転校を伴う場合、今の学校での友達としっかり過ごし、きちんとお別れをしてクラス替えのタイミングで転校することが最も負担が少ないため、3月に離婚して転校するのが子どものために最善です
ただし、昨今、春休みの引っ越し費用が異常に高騰しているため、引っ越しと離婚とは別に考えることになる家庭も増えてくると想定されます。

周囲に気づかれにくい

母親の立場で考えた場合、離婚の事実を知られると、周囲の目が気になり、また、自分の知らないところで悪い噂が立っていないか不安になり、これらがかなりのストレスになります。
ここで、春休みのタイミングでは転校やクラス替えなどで色んな人の動きがあるので、しれっと離婚して母子家庭になっても、学校の先生には伝える必要はありますが、それ以外の隣人やママ友などには知られずに済ませられる可能性が高いことが、母親にとって大きなメリットです。
また、4月は新生活の季節なので、4月から母子で子持ちを一新して頑張ろうと気持ちを切り替えやすい季節であることも関係しているかも知れません。

積もり積もった不満が爆発

協議離婚が3月に多くなると仮定して、協議離婚の要因は何か特定の事象で説明できるものではなく、積もり積もった不満であることが多いです。
夫婦関係は、どんな家庭でも少なからず衝突が発生します。この衝突を解決しないまま引きずると離婚が近づいてきますが、そのように引きずった状態はストレスが溜まりますし、子どものいる家庭では子どもに悪影響も及ぼしがちであるため、通常はどこかで解決を試みます。
ここで、理屈でしっかり解決して水に流せる人と、感情優先で、かたちの上では仲直りしても、腹落ちしていない人とがいます。後者は、衝突の度に不満を抱え、それを消化できていないため、積もり積もった不満がどこかで爆発してしまう可能性があります。仲が良さそうに見えたのに急に離婚した、というようなケースは決して急に離婚原因が発生したわけではなく、積年の不満が閾値を超えてしまったケースの方が多いと考えられます。そして、その引き金はひょっとしたら配偶者の実家に行く機会の多い正月やお盆にひかれる可能性もまた多いのかもしれません。

調停・訴訟ではタイミングコントロールが難しい

3月に離婚することは、子どもにとっても、母親にとっても、生活上の負担を軽減するというメリットがありますが、これが調停や訴訟になると離婚のタイミングを選ぶのは難しくなります。
離婚自体は双方合意していても、裁判になればほぼ間違いなく子どもの親権は母親に行くこともわかっていても、頑なに子どもの親権を譲らない父親もしばしばいます。このようなケースでは、調停や裁判で不利な結論になるかもしれない、という不安はあまり感じずに済みますが、相手がどこまで争うかによって離婚のタイミングがずれてしまいますので、変な季節に離婚が成立すれば生活を変える負担の方が大きくなってしまうかもしれません。最近では調停の期日もなかなか入りにくくなっているため、弁護士が代理人になるケースでも調停ではなく、できる限り協議で離婚を成立させようとする傾向が強まっています

まとめ

3月に離婚件数、それも協議離婚が増えるのは、上記のように母子ともに一定のメリットがあるためですが、引っ越し代の高騰や、相手がつまらないところで揉めてくるなど、なかなかうまく行かないケースも多いです。ご自身でスムーズに離婚届作成まで進めることができるのであればよいのですが、ややこしい話になりそうな場合、早めに弁護士に相談のうえ、離婚の成否だけでなく、お金の問題や離婚時期も含めて全体戦略を策定するのが望ましいです。
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