飲食店チェーンで格差拡大
・・業界で倒産増加、という報道はどこの業界でもよくみかけます。物価高と賃上げでコストが上昇している中、その増分に見合う利益を確保できなければ赤字に向かうからです。飲食店もその例に外れず、むしろ飲食店こそ、こうした物価高の中で倒産件数が増加しやすいと考えられています。それは、飲食業の材料である飲食物は海外依存度が高く、為替の影響を受けがちであるうえ、来客はなかなか安定せず、固定客を定期的に呼び込むことも難しいことなどに理由があるのですが、そうした飲食業界では、勝ち組と負け組が明確に分かれる減少が如実に名手いるようです。
そこで本稿では、飲食店において何を特に重視すべきなのか、それは味や価格ではなくもっと基本的なところにあることを複数の業態を取り上げながら説明します。
焼肉屋の例
焼肉チェーンは色々ありますが、かなり勝ち負けの差が明確になっていると分析されています。焼肉の材料である牛肉は元からコストが高いですが、干ばつによる牧草不足により、えさ不足から輸入牛肉が値上がり傾向にあります、そのため、多くの企業では価格転嫁をしないための工夫を一生懸命こらしていますが、どうやら最も大事な要素はそこではなかったことが明らかになってきました。
業績が伸びている焼肉チェーンは、店舗の清掃を徹底し、食材などの配膳サービスを強化しています。すなわち、顧客の快適な食事空間の維持に注力しているのです。おいしい肉を食べたければ客は高級店に行きますし、安かろう悪かろうがよければ利益度外視の最安値のある店に行きます。そうではなく、ほどほどの焼肉を楽しみたい方は、清潔感があって面倒な手間のかからない店を選好していることが明確になってきました。
居酒屋の例
居酒屋も焼肉屋同様に、メニューや価格よりもオペレーションが重視される傾向が強いです。汚れや異臭が気になる店や、アルバイト店員が雑に配膳するような店では誰も楽しい食事はできません。そして、間接的にこうした悪い要素をあぶり出してしまうまずい運営として、「多すぎるメニュー」があります。
メニューが多すぎると、どうしても現場がドタバタし、電子化せずに個々人の頭で判断して対応しているとどうしてもミスが発生し、自転車操業にもなりがちです。顧客的には選択肢は多い方がよいものの、ドタバタしてオーダー間違いも起きる店で飲食したいとは思いにくいです。また、飲み物が長時間空くと苛立ちがちですので、飲み物のスピード提供ができるかも満足度に直結します。そのため、居酒屋では、特に団体客に対してはコースだけにして、メニュー1つ1つは見劣りしてもとにかく適時に正確にサーブするお店の方が満足されやすいです。
ファーストフード店の例
ファーストフードのお店は少し客が求めるものが異なります。ファーストフード店では、「安く、かつ、速い」ことを顧客が求めています。安い以上、味は見劣りしても仕方が無いとは思っていますが、無駄に待たされるのはあり得ないと考える方が多く、食材切れにより提供が遅れたり、提供の順番を間違えることが最悪のミスになります。待たずに食べられてすぐに帰る、これが実現できれば店側も回転率が良く、双方ウィンウィンです。居酒屋や焼肉屋と根底は同じで正確で丁寧なオペレーションがカギではありますが、前者では約2時間というまとまった時間の価値を高める演出が最優先であるのに対し、ファーストフード店では時間を極限まで短縮して顧客の時間を奪わないことが目標となる点に違いが生じます。
カレー屋の例
街中のカレー屋も多いところにはたくさんあります。基本的にはラーメン店と同じで、看板メニューを持つことで集客し、客の回転率を上げることで利益を上げる店が多いです。こうしたカレー屋やラーメン屋はファーストフード店に近いですが、味が特に要求される点において他の業態と大きく異なります。
そして、味に自信のある店は、ほぼ例外なくラーメンやカレー1本で勝負するのに対し、そうでない店は夜間は居酒屋メニューを提供しがちです。前者は味に自信があるため、オペレーションを最適化して、顧客満足を維持することでリピートを期待できる反面で、後者は店の入口を広げなければならないため、あれこれ提供せざるをえません。ラーメンやカレーは1000円前後でメニューのクオリティを高めやすいため、人気店がどんどん成長して行きやすい構造にあります。
まとめ
以上見てきたとおり、飲食店で最も大事なのは、味や価格よりも顧客が何を求めているかに適格に答えることです。味は手元材料で精一杯頑張るしかなく、価格は原価計算からきちんと利益のあがる数値にすべきで、あまり短期間で劇的な変化は期待できません。しかし、サービス品質やオペレーションは簡単に改善することができます。お客が「待ちたくない」のか、「食材を自分で取りに行くのが面倒くさい」のか、「サーブが遅いことに苛立つ」のかといった顧客の意向をくみ取って、仕事の総量を適量に抑えてお客の期待に応えることが何より大事です。
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