退職代行バトルは低予算バトル。引き際を間違えないように

顧問契約

転職者の6人に1人が退職代行を活用する時代

転職者の6人に1人が、前職の退職にあたって退職代行を活用したというデータがあります。個人的にはまだまだ少ないように思いますが、スムーズに退職できない方が増えているのは残念な事実です。
退職代行を活用した理由としては、「引き止められる」「退職を申し出させない雰囲気」といった理由が挙がっています。
退職は自由で、阻害されるべきではありませんが、企業側にも引けない理由がある場合もあり、「バトル」が発生してしまうケースもあります
そこで、本稿では退職代行の活用における主に「引き際」を解説します。

企業側が引けない理由

企業側が従業員の退職を妨げたい理由は、人材確保が難しいとか、急に辞められるとその穴の補充が難しいとかありますが、そうした理由は、契約に沿った退職を希望する方の退職を妨げる理由にはならず、残ったメンバーをうまく活用して対応するより仕方ありません。
企業側が引けない理由は金銭面。特に採用間もなく辞める方に厳しい追及がなされがちです。
新卒採用はものすごい予算を投じ、断腸の思いで対立候補を落とし、入社後も充実した新人研修を施して多大なコストがかかっています。
中途採用でも近時はエージェント経由の転職が多く手数料がかかっている
ため、すぐに辞められては困ります。
そうしたコスト面から「最低2年は在籍しろ」と引き止められるケースは多いようです。

双方強引に主張を展開

労働者側としては会社に損害が生じても、ルールの範囲内で辞めるのは権利であり、譲歩する理由はありません。
他方で、使用者側は損害が生じ、その責任を誰か社内の個人が引き受ける(損害賠償ではなく、降格や左遷など)必要があるため、退職意思の撤回のために何度も翻意を迫ったり、紹介者や両親に圧力をかけるなどなりふり構わない対応が増加する場合があります。
こうなると、両者とも後に引けない状態で、「バトル」がどんどん過熱化していくおそれがあります。

安い退職代行は対応も軽い

退職代行サービスは価格競争に突入しており、対応業務をマニュアル化限定化して、「決められた業務だけする」という契約で価格を安く抑える傾向があります。もともと弁護士法の問題もあり、代行サービスの内容は明確に限定しなければならないことから、この傾向も強まっています。
「決められた業務だけする」という契約では、上記のような粘着質の企業の相手を途中で辞めてしまい、結果として企業が直接本人に連絡を試みるケースも増加しているようです。
これを「安かろう悪かろう」と評価するかどうかは各自の判断ですが、安い退職代行は粘着質の企業の相手を最後までしてくれない点には注意が必要です。

ほどほどのところで手を打て

さて、このバトル、とことん裁判で戦ってもお互いにメリットはほとんどありません。退職意思の撤回は簡単ではないため、使用者側はどこかで諦める必要がありますし、ただ、契約に則って要求できることは労働者にきちんと要求し、例えば引継ぎ業務でももう出社することが嫌なのであれば、労働者側はある程度、金銭的に譲歩する(損害賠償する)ことも必要でしょう。
100%勝利を求めては延々と煩わしい手続が続くため、早く落としどころをみつけて和解するのが望ましいです。

まとめ

退職代行業は法律的に問題もありますが私は表立って批判する気はありません。ただ、安い退職代行業は揉めた場合にすぐにエスケープしてしまいがちなので、本当に揉める案件では早めに弁護士に相談するのが使用者側も労働者側も得策です。退職絡みでお困りであれば、まずは下記より、お気軽にご相談ください。

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