起業や新規事業開始時には「経験者」を求めがちであるが・・
起業や新規事業開始時にはどうしても経験者を求めがちです。応募条件として「過去に経験のある人」などと明記して未経験者を最初から面接に呼ばない企業も多いのですが、これは悪手です。
本稿ではその理由を順を追って説明します。
教育の必要がない
経験者が求められるのは、要は即戦力だからです。なぜ即戦力が求められるかと言うと、「教えられない」ことが大きな要因だと考えられます。
起業や新規事業開始時には、1つ1つ手探りで進めて行かざるを得ず、自信を持って進められることは少ないです。そうした場面で、既に経験があり、答えを教える必要のない社員がいると業務が非常にスムーズに進められるため、即戦力経験者が要求されがちです。
スタートアップ時にはスピードが必要
スタートアップ時には特にトップダウンで情報が速やかに伝達され、行動に移される必要があります。この場面で、経験者がいると、円滑に業務をこなすほかに、この情報の伝達を促進させる役割も期待できるため、トップにとっては非常に使い勝手がよく、経営者自身も経験者が仲間に加わると大変楽になることから、即戦力経験者を選びがちです。
経験者はコストと意外に手間もかかる
とはいえ、即戦力経験者の採用にはデメリットもあります。
まずは職務経験のある人間はコストがかかること。起業時は収入がまだ少ないため、高コストの人材を雇用すると赤字のリスクが高まります。
また、経験者は自身の経験に基づいて活動しますが、当然、今の企業の業務とは異なる経験です。そのため、盲目的に過去の経験に基づいて行動したり、過去の成功経験を他の従業員に押し付けるようでは逆に組織に悪影響を及ぼし、意外に手間がかかる面もあります。
やる気のある人材を育てる意識を
このように、経験者は諸刃の剣の側面もあり、そうであれば、やる気のある未経験者を育てる方が、安く、熱意のある仕事をしてくれます。
起業時には想定外のアクシデントが多いもので、これをチーム一丸で乗り越えることにより、個々も成長し、組織としての一体感も増します。
こうして組織の中核的な人材を育てることが、中長期的に組織の持続的な成長につながっていきます。
まとめ
新しい事業を起ち上げる際にはどうしても経験者を頼りにしたいです。予算に余裕があるのであればそれが近道であることも多いですが、そうでない場合は、1つ1つの目の前の課題を現有戦力で乗り越えていくことにより、組織の中核的な人材をそろえていく方が合理的です。
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