警察を騙る詐欺が急増。その対策とは?

リスクマネジメント

警察をかたる詐欺の件数・被害総額が急増

振り込め詐欺や国際ロマンス詐欺など、詐欺の態様は様々ですが、最近急増しているのが警察官を騙る詐欺です。「110」を含んだ警察っぽい電話番号を用い、警察手帳や手錠まで用意した周到な詐欺に騙されてしまい、警察庁によるとその被害件数は2か月で1000件を超え、被害総額も100億円を超えたと報道されています。
数年前までは警察から電話がかかってきても不安に感じることはありませんでしたが、近時、警察を騙る詐欺を信じてしまう1つの要因として、ちょっとしたアンケートに答えただけで、闇バイトに加担したことになってしまうなど、ネット上のやりとりが意図に反して犯罪に活用されてしまうケースがしばしば報道されている点があります。
そこで本稿では、こうした警察を騙る詐欺の手口と、その被害を回避するために最低限気をつけるべきポイントを順を追って整理します。

巧みに誘導し、不安を煽る

]警察を騙る詐欺の手口はいきなり不安を煽るのではなく、巧みに騙されやすい環境に誘導することが多いと言われています。家族や仕事の同僚が近くにいる状況では不安にはなりにくいですし、嘘もばれやすいです。そのため、最初の段階では犯罪加担の可能性だけ示唆して言葉巧みに人のいない別の部屋などに移動するよう促すケースが多いようです。
また、ファーストコンタクトは電話で連絡してきますが、途中で通信費の削減などの理由をつけてLINEに通信を変更する誘導も多いと言われています。LINEの方がアカウントの変更が簡単で足がつきにくかったり、用意した警察手帳などの提示が容易になるためです。
こうして他人に相談できない不安定な場所で不安を煽り、一気に「送金しなければならない」という心情に引き込もうとするのがこのパターンの詐欺の常套です。

警察は捜査対象に捜査情報を教えない

この段階で予め知っておくと騙されずに済むポイントがいくつかあります。まず、LINEでの通信への誘導は見るからに怪しく、普通は応じるべきではありません。あえてLINEに誘導などせず、そのまま電話で連絡を完了した方が早くて正確なやりとりができます。
次に、警察は捜査対象となる人物に捜査情報は伝えませんし、捜査中であるということも言いません。本当に捜査対象なのであれば不安を煽るのではなく、逆に警戒させないよう穏やかな言い方で情報を引き出す方針で接するケースが圧倒的に多いですし、「捜査に応じなければ逮捕するぞ」といった言葉は既に嫌疑の固まった相手に発するもので、そうでない方に発すると違法捜査になる可能性が高いです。そのため、不安を煽るような言動は詐欺の可能性が高いです。

身に覚えのないことは絶対に妥協してはならない

刑事弁護をしているとよくあるのですが、警察に色々と聞かれて、身に覚えのないことを認めてしまう方は意外にたくさんいます。最近の刑事裁判は被告人調書に依存しないよう工夫がなされているため、自白調書を作成してしまうと致命傷、というわけではないのですが、本物の警察の取り調べにおいて身に覚えのないことを一度認めてしまうと、もう犯人確定の前提の元で捜査が進んでしまい、その流れを変えるのは困難になります。
もちろん、警察でない詐欺師とのやりとりでも身に覚えのないことを1つでも認めてしまうと、それを切り口にどんどん食い込んで追い込みをかけてきますので、知らないことは知らないで押し切ることは必須です。知らない以上、その事実について追及するならあなたが証拠を見つけて提示してください、というスタンスで全く問題ありません。

金融資産・アカウントの管理は正確に

ひょっとしたら知らずのうちに犯罪に加担したかも、と不安になるのは、アカウントは作ったが放置しているものを乗っ取られたのでは?と感じるからでしょう。そのため、自分がどのような金融資産やアカウントを持っているか正確に把握しておくことが騙されないために有効です。
例えば、私はamazonのアカウントは持っていませんし、メガバンクでも口座を作っていない先があります。そのことは寝起きや酔っている状況でも明確に記憶しているため、amazonや当該メガバンクから連絡がなく、そうした連絡は詐欺か営業で間違いないと断言できます。
最近あまり使ってないな、というアカウントなどがあれば、乗っ取られて犯罪に利用されないようアカウントを解除してしまうことも有用です。

まとめ

警察を騙る詐欺は、いざかかってくると気が動転してうまく対応できない方がほとんどかと推測されます。そのために、予め準備できることは準備しておくべきで、その準備とは、LINEへの誘導は怪しいと知ること、知らないことは知らないとはっきり伝えること、使わない口座やアカウントは解除しておくことなどがあります。そして、犯罪の可能性を示唆されても少なくともその場で解決してしまおうと思わずに、一度連絡を中断して弁護士に相談してください。弁護士にたどり着いた時点で助かる可能性が9割以上に回復するでしょう。
当研究所ではITやお金の流れ、リスク管理に詳しい弁護士・公認会計士・ITストラテジストがこうした怪しい話を見破って撃退する業務を得意としております。下記よりお気軽にご相談ください。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました