インバウンド増加は単に収益増加につながるわけではない
訪日外国人旅行者数が過去最速で1000万人を突破したという報道がありました。コロナ禍でインバウンドが消失した際、日本経済に対する悪影響が大きいという報道が多かったため、インバウンドの増加は、人口減少する日本経済において消費を増加させる好ましい傾向だと考えられがちです。しかし、インバウンドが増えることは決してポジティブな話ばかりではなく、逆に様々な課題も生じています。例えば、インバウンドの数は増えてもホテルや飛行機の数は急には増えないため、近時、東京出張費用がかなり高騰している問題なのが挙げられます。
インバウンド増加はまだ続きそうな様相ですが、本稿ではインバウンド増加に対してどのような問題に注意し、どのようにうまくこの好機に乗っていくべきかを説明します。
人気観光地への旅行はタイミングを考えて
インバウンド増加による一番の問題は「観光公害」です。例えば京都などの人気観光地では街中に外国人があふれ、バスやタクシーにスムーズに乗れないといった問題が生じています。そのため、京都旅行へ行ってもスムーズに観光地を回るのは難しいのですが、では京都には旅行すべきではないかと言うとそうではありません。外国人旅行者は通年で多いものの、紅葉や桜の時期にピークを迎え、その前後(特に後)は減少傾向がありますので、そのタイミングに旅行すると比較的スムーズに移動できます。また、外国人がどこからどのような移動手段を利用するかもある程度パターン化されているため、その路線をずらす。例えば京都駅からバスやタクシーに乗るのではなく、地下鉄で数駅ずらしてからバスやタクシーを利用するなどの工夫をすれば比較的スムーズな移動が可能です。
ホテルが高騰。宿泊地は少しずらす工夫を
東京や京都、大阪には多くの外国人観光客が来るためホテルの空室が減少し、宿泊価格が高騰しています。東京や大阪はビジネスパーソンの宿泊も多く、東京では山手線沿線、大阪では御堂筋沿線でホテル価格が高騰しています。まだ高騰する価格を飲めば宿泊はできるのですが、費用を節約するためには少し宿泊場所をずらす工夫が有効です。
大阪では関西国際空港から入国した外国人観光客が「より速くてより安い」南海急行で難波に向かうパターンが主流で、ミナミに宿泊するのはかなり熾烈な競争になりつつあります。しかし、エリアをずらせばまだまだ空いているエリアはあり、翌日どこに向かうかを考慮して、例えば京都方面であれば京橋など京阪沿線、奈良方面であれば鶴橋など近鉄沿線、USJ方面であれば福島など環状線北部といったように繁華街や人気駅をずらせば比較的安く宿泊することができます。
大型荷物の置き場にご注意を
外国人旅行者の移動で大きな問題となっているのが大型スーツケースです。新幹線では車両最後尾のスーツケース置き場が有料ですが、ここに勝手にスーツケースを置いてしまうトラブルが多発していますし、かといって上部の棚に億にもはみ出しが大きく、転落の危険があります。
街中でも大型スーツケースを転がして歩く一団は、ただでさえ混み合っている道路をさらに塞いでしまいますし、タクシーなども後部トランクルームからあふれるスーツケースをゴムバンドで固定して運行するケースも見られます。
観光を楽しんでいる旅行者はスーツケースが市民に迷惑を与えてしまうことをあまり気にしません。そのため、外国人旅行者のスーツケースでトラブルに巻き込まれないよう、市民側がある程度気をつける必要はあるのかと考えられます。
商機ではある。外国語対応を恐れずに!
こうしていろいろな問題はあるものの、外国人観光客が増えることは間違いなく消費が増加する商機です。しかし、日本語しか話せずに消極的に待つだけでは、まず来店は期待できません。チャンスであることは間違いないため、外国語のできるスタッフを雇用して、こうした外国人旅行者に有益な情報を提供してみることが有効です。外国人旅行者はスマホ情報を頼りに観光するため、スマホで検索できる有益情報があると大変助かります。そうすれば自社に対する注目も集まり、商品やサービスが売れるチャンスが増加します。外国語対応を躊躇う方は多いですが、ここまでインバウンドが多くなった以上、外国語対応はもはや避けては通れない壁であり、早めに対応を始めて先発者優位を築いた方が収益獲得がしやすくなるでしょう。
まとめ
インバウンドの増加傾向は今後も続くと想定され、東京や大阪・京都の人気エリアは外国人だらけになると予想されます。これは決して喜ばしい話ばかりではなく、我々は無用なトラブルや費用高騰を回避するために、うまく外国人の行動パターンに外れた要素を活用すべきですし、外国人の多いエリアでは積極的に外国語対応をとりいれてインバウンド景気を取り込んでいくことが望まれます。ただ待っているだけでは、ただのリスクでしかありませんが、チャンスはチャンスであり、積極的な施策が必要です。
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