終の棲家。その真の価値はいくら?

相続・事業承継

不動産の価値は人によって異なる

相続を考える際に、多くの場合には被相続人には現在住んでいる持ち家があります。これが大きな相続財産となるわけですが、不動産の相続税評価は一義的に決まるとしても、個々人が評価する価値は異なり、そこで相続が揉めるおそれが生じます。本稿では、不動産の価値評価と相続上の留意点を整理します。

住み続ける価値は無限大

被相続人に配偶者がいる場合、普通は配偶者がその家屋を承継します。特に高齢の配偶者においては、それまで住んできた家に住み続ける価値は計り知れず、今更引っ越ししてよそで家賃を支払って暮らすことは苦痛だからです。

配偶者は1億6000万円まで相続税がかからないこともあり、配偶者にとって家屋の価値が非常に高いことから、持ち家は配偶者に相続させるのが一般的です。

応用として、二次相続を考慮して家屋の所有権は子どもに移して配偶者には居住権を保障する手法も有効です。

処分のタイミング

例えば都心の一等地のマンションがあるとして、売ればかなり高値がつくような場合、売るタイミングを検討する必要があります。

すぐに売って現金化しておく(相続税)ほうが有利なのか、相続税評価で相続したうえで相続人が売る(所得税)方がよいのかは、ケースバイケースですので専門家に試算してもらうことが必要です。

また、古い一軒家がある場合、家屋には価値がなくても、相続税評価がなされます。施設に入るなどしてもう家に戻る予定がなければ取り壊して更地にしておくことで現金と家屋の双方の相続税を減らすことができるため、場合によっては生前の取り壊しも検討が必要です。

実はマイナス価値の不動産

近時大きな問題となっているのが老朽化したマンションです。築40年を超えたマンションは建て替え問題が生じます。都心部の人気物件であれば建て替え費用を投じてもそれ以上の価格で販売できるので問題ありませんが、不人気物件であると建て替え費用の負担は大きく、これを不動産の評価額から控除するとマイナスであるケースも少なくありません

こうした実質マイナス価値の不動産は相続において必ず揉めますので、予め専門家に相談して処分しておくことが望ましいです。

まとめ

不動産は、相続税の評価とは別に、各自が異なる価値を有するためややこしい面があります。柔軟に様々な価値評価を尊重したうで、手順を踏んで丁寧に1つ1つ解決していくことが大切です。

当研究所では、不動産の価値評価に詳しい弁護士・公認会計士・CFPが、相続税対策と相続対策の両立を広い視点からサポートいたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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