終の棲家を「負」動産にしないための方策

相続・事業承継

親の終の棲家の処分に困るケースが増加

現役世代は、人生100年時代の老後を生き抜くために必死で、その中間点として終の棲家の確保で一段落しがちです。終の棲家として、一軒家やマンションを住宅ローンで購入するケースが一般的ですが、それで親世代は安心できたとしても、子どもには大きな迷惑が発生するリスクが生じます。
親としては無担保の不動産なので、子どもがその後住むか、住まなければ売っても良いと簡単に考えがちなのですが、少し冷静に考えてみてください。例えば40歳で住宅ローンを契約して購入した一軒家。あなたが亡くなるときに、どれほどの価値があるでしょうか?負動産を相続させてしまうと困るのは相続人の方です
今増加しているこうした終の棲家の処分問題について、本稿ではその問題点と対策を端的に整理していきたいと思います。

買手のない家屋の処分ができずに困るケースが増加

多くのご家庭で勘違いしがちなのは、無担保の不動産は必ずプラスの価値があるはずだという錯覚です。しかし、冷静に考えてみれば築40年の、古民家でもない時代錯誤の一戸建てに住みたい人が本当にいるのでしょうか?仮にいたとしても生活保護者などの収入の低い層であり、売却も、十分な家賃収入も期待できません。
買手のない古い建物はリスクでしかなく、移転登記も必須になりましたし、空き家で放置すると火災などの犯罪リスクがあり、かといって取り壊すには費用が必要になります。つまり、売れない古い建物は、財務諸表上は資産であっても、実質は負動産であるうことの方が圧倒的に大きいのです。そのため、こうした財産を相続する場合、最低でも取り壊し費用分の現預金も相続財産として残してあげなければ、相続人が困ってしまいます。

定期借地権の割安タワマンは超リスク

タワーマンションの購入は中長期的にメリットも大きいですが、最近は高騰が続いています。そのため、夫婦共働きで目いっぱいペアローンを組まなければ東京近郊ではマンションを取得できないと言われています。
そのような中、ぽっと割安物件が出てくるとつい飛びつきがちですがちょっと待った。絶対に確認すべきポイントがあります。敷地利用権です。通常は敷地利用権は敷地所有権を建物所有者全体で共有するため、敷地所有権自体の持ち分割合は低く、固定資産税も高くはなりません。
しかし、割安物件は、敷地利用権が定期借地権であることが多く、もし敷地が所有ではなく借地権であるとすると契約期限に更地にする約束があるため、どこかで退去を余儀なくされてしまいます。結果、売り抜けも制限され、終の棲家にもならない最悪の結末に陥りがちです。

収入に見合ったほどほどの物件を確保せよ

タワーマンションに住みたいとか、どのエリアに住みたいとか、希望を書き出すといくらでも出てきますが、昨今の不動産市場で高望みは禁物。高すぎる物件を購入すると老後にローンで苦しみますし、割安物件だと終の棲家にならない。駅から遠い物件は老後しんどい、など後々、様々な問題が生じがちです。
そこで重要なのは、収入に見合った物件を選ぶことです。タワーマンションでなくても、人気エリアでなくても駅近のほどほどの物件がすぐに抑える意識が必要で、それが老後に最もリスクが小さいです。
マンションか一軒家かでは、こまめに修繕できる方は一軒家も良いですが、老後になればなるほど修繕意識が低下してしまいますので、強制的に修繕積立するマンションの方が高齢者には住みやすくなっていると考えられます。

立地重視。特に駅近!

一軒家では特に解体費用の積立が負動産を残さないために大事になります。ただ、更地の価格が十分に高ければ、最悪、不動産を担保に金を借りて建物を解体して、更地の代金で借金を返すというような手順も考えられます。
ここで、更地に十分な価格がつくのは駅に近いエリア。老後の生活のためにも、立地を重視して駅に近いエリアの土地やマンションを確保すると将来的に値下がりリスクが低く、負動産化を軽減することがやりやすくなります。そのため、不動産の選び方はとにかく立地重視で、人気エリアだとか、タワーマンションであるかよりも、近くに何があるか、近未来、このエリアはどうなっているかなどを重視して選んでいくのが望ましいでしょう。

まとめ

終の棲家を確保して安心ではなく、最近ではその終の棲家が相続する子どもたちの重荷になってしまうケースも増加しています。それを防止するためには、住宅ローンを組んで家を選ぶ際に、その時点での自分の好みで決めてしまうのではなく、その不動産が、20年後、40年後どうなっているかを先読みして、ほどほどの価格で値下がりしにくい物件を選ぶのが得策です。これは、不動産屋はなかなか教えてくれないため、例えば、こまめに不動産価格を見て、どのような要素があれば値上がりし、あるいは値下がりするのか、傾向を掴むことが必要だと思います。
当研究所では、不動産取引に精通した弁護士・公認会計士・CFPが、貴方の終の棲家の選び方や相続における少しでも特になる方法を多角的に提案いたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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