米不足が周辺業界に波及
インバウンド需要の増直接加などもあり、今年は米が不足しており、価格も上昇しています。これは政府の米作農家への政策で解決可能なのですが、これに付随して、漬物や煎餅業界も倒産案件が増加しています。ただ、これらの業界は、米不足の影響は受けていても、それが直接の原因ではなく、その証拠に両業界は全く異なる課題を抱えています。
そこで本稿では両業界の窮境原因を比較したいと思います。
漬物業界の倒産要因
漬物業界の倒産件数は増えており、その要因は米飯を食べる人の減少だと言われています。この仮説自体は大きく間違ってはいないのでしょうが、米飯を食べる人の減少は今の米不足との関係は大きくないと考えられます。
米飯を食べる人の減少は、ここ数十年単位での食の多様化や、パン食の普及などが原因であり、今年の米不足に起因するものではありません。
そして、米飯需要は国内でもまだまだ十分に大きいです。そのため、漬物業界の課題は米飯需要の減少ではなく、旧来の価値観にとらわれない今の米食の方の需要に合った新商品開発だと言えます。
煎餅業界の倒産要因
他方で、煎餅業界は米不足の煽りを大きく受けています。煎餅の原材料は米だからです。
優良な米が高値で取引されるため、煎餅業者は、①品質を維持するため値上げする②価格を維持するため品質を落とす、の二択を強いられました。その結果、費用対効果の悪化に不満を持つ顧客離れが生じたわけです。
対策は、より安い原材料で同等の品質を保持することや、トッピングの調整などを通じて原価管理をすることになります。
窮境原因に応じた対応を
このように、漬物業界も煎餅業界も、米不足が多少は影響していてもそれが直接の原因ではなく、本質的な原因の解消に向けて知恵をしぼらなければなりません。
どちらも従前の商品に歴史があるものの、それが最終形ではないはずで、新しい、より安価な材料でより満足度の高い商品を模索する必要があります。
ナンバーワンを目指すのではなくバランス
品質改良を提案すると、ほとんどの方が「業界ナンバーワンを目指そう」と言い出します。その心意気は良いのですが、中長期的に安定して売っていくためには、業界の品質ナンバーワンを目指すのではなく、コスパのバランスを追及する方が早道であることが多いです。
原価低減を目指しながらその範囲で品質向上を目指す、このバランスをとった新商品こそがヒットする可能性が高いでしょう。
まとめ
倒産を防ぐための事業再生は窮境原因をつぶすことが全てです。その窮境原因は一見して誤解しがちであり、対策も一筋縄にはいきません。
当研究所では法律会計税務各面で事業再生経験の豊富な弁護士・公認会計士・MBAが御社の窮境原因打破のためにあらゆる面で貢献します。下記よりお気軽にご相談ください。
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