米の「実質価格」に感度を強めよう

コンサルティング

米不足に社会全体が対応に苦慮

政府の備蓄米が一部開放されて、スーパーでやや安い米が出回ることもありますが、すぐに売り切れて米の価格の高騰が続いています。米の高騰が続くから今のうちに買いだめしておこうという動きが業者だけでなく消費者にも広まると、いつまで経っても価格高騰は続くこととなります。
そのような中、小売店も製造業者も飲食店も、米の入手が困難な中で様々な工夫を凝らしており、その中には意図的ではないにせよ、最終消費者からすれば「騙された」と感じてしまいかねない手法も見られます。そこで本稿では、こうした米の販売をめぐる様々な売り方の工夫を紹介するとともに、そうした工夫に対して我々消費者はどのように「実質価格」を把握してお得な買い物をしていくべきか、その勘所を解説いたします。

他の穀類とブレンド

米が入手できない、あるいは入手できても高い。そのような中で、消費者は少しでも安く米を購入したい。そうした要請を受けて、他の穀類とのブレンド米を販売する動きがあります。ブレンドする穀類としては、麦や、外国産の米で、麦や外国産の米だけで食べるとあまりおいしくないと感じる人でも、うまくブレンドすれば、あまり違和感を感じずに食べられる可能性があります。
この手法に対して消費者が気をつけるべきは、パッケージだけで商品を選ばずに、きちんと内容、特に何をどのような割合でブレンドしているかを慎重に確認することです。国産の米以外の穀類の割合が増加すれば当然、それだけやすくなるはずですし、何より、どのようなブレンドであれば食べられる、おいしくないのかを1つ1つ見極めながら、自身の好みのブレンドを掘り当てていくことが大事です。同じパッケージや商品名でもこのブレンド割合はどんどん変わっていく可能性があることについても注意が必要です。

1袋の量が減少

「3000円台の米があった」と思ったら、内容が5kgではなく、4kgだったというケースもあります。お米を購入する際の出費は3000円台であってほしい、という消費者は必ず存在し、こうした「分量を減らす」手法には一定のニーズがあります。ただ、消費者としては当然、お米の内容量を確認したうえで、5kgに換算したらいくらになるのかを確認しながら購入を検討すべきです。
こうした分量を減らす手法は米袋だけではなく、おにぎりや定食屋のご飯など、少しずつわかりにくい割合でお米の量を減らしているケースは様々なお店で確認されています。同じ価格だから同じ量だと安易に思い込まず、量が減少してコスパが悪くなっていないかにも注意が必要です。

他の食物の割合を増加

ご飯と別の食品を組み合わせた商品については、その別の食品の割合を増加させて合計のボリュームを維持しているケースも見られます。例えば海苔をかけたご飯であれば、ご飯の量を減らしながら海苔の盛り付けで多く見せる手法がありますし、カレーライスであれば、ジャガイモやタマネギなど、その時々で割安な野菜の分量を増やしてボリューム感を維持する手法もあります
通常は、こうしたメニューでお米よりも具の方が増えるのは望ましく、ひょっとしたら米の高騰で逆転現象が生じているケースもあるのかもしれませんが、基本はより安い食材の割合が増えるだけですので、MIX割合が変わったことによって美味しくなったか、コスパが良くなったかをきちんとチェックすることが必要です。

メニューを大幅に変更

お米を使うメニューを減らして、それ以外のメニューを増やす取り組みもあります。例えば居酒屋などでは、これまでは焼きおにぎりやお茶漬けなどはお米が安い前提のもとでは原価率が低く、利益率が高い商品でした。しかし、米が高騰するとこうした商品を多数注文されると赤字になりかねません。そこで、お米を使用する割合の大きいメニューを廃止してしまったり、メニュー表の端に追いやって、他の原価率の低い商品を目にとまりやすい場所に配置換えする工夫も見られます。こうしたメニューの工夫では、「嘘」や「誇大」表示があれば民事上問題となりますが、そうでない場合は、メニューの見せ方は店側の手腕の見せ所で、消費者側は、メニューを落ちついて全体を見渡し、自分が食べたいと思う商品を注文する意識をしっかりと持つべきでしょう。

まとめ

以上のように、米の価格高騰により、お店側と消費者の間では様々な情報戦が既に始まっています。お店側としては法律に抵触しない範囲でうまく商品のお得感を出すか工夫のしどころであり、お客側としてはぼんやりしていると、自身が思っているものと異なる商品を購入させられてしまうため、以前と同じように見える商品でも何がどう変化し、それによりお買い得感がどの程度変化したのか、「感度分析」を感覚的にでも把握できるよう、注意しながらお米に関する商品は選ぶべきでしょう。
当センターでは、消費者問題と数値分析の得意な弁護士・公認会計士・ITストラテジストがこうした消費者問題上の駆け引きについて、法律・会計の両面から、少しでも有利な解決策を検討いたします。下記よりお気軽にご相談ください。

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