米が消える理由を総ざらい。米自体はあるのでその有効消費を考えよう

コンサルティング

備蓄米放出後も米の価格は高止まり

政府の備蓄米が数度にわたって放出されましたが、備蓄米自体は新米よりも安く流通しているものの、お米の価格自体が下がる気配はまだありません。備蓄米放出にお米の価格抑制機能を期待する傾向が高かったため、これに対する失望感はどうしても広がってしまいやすいです。
今回の米騒動ですが、昨年、一昨年の米の収穫が著しく少なかったわけではなく、備蓄米まで投入しているため、米自体が総需要に対して著しく少ないということは考えにくいです。すなわち、今回の米騒動は人為的に行われている可能性が高いのです。その1つの証拠が、備蓄米放出後もスーパーなどに並んでいるお米の量はそれほど増えておらず、せいぜい売り切れが少なくなったくらいです。
そこで本稿では、こうした売り切れにくくなった米の賢い調達作戦についていくつかの方向から分析します。

米の無駄遣い

お米の調達が困難になっている状況下では、何よりお米の無駄遣いをなくす必要があります。毎年節分に問題となる恵方巻は、近時コンビニを中心に予約数量を上回る生産を抑える取り組みがなされていますが、スーパーでは毎年、絶対に購入されない量の恵方巻きが並び、昼過ぎから値引き販売され、翌日には大量廃棄されているのが現状です。また、ご飯食べ放題の飲食店は食べ放題に応えるために大量の炊飯をしがちであり、今のお米不足をふまえて少しご飯の提供の仕方を考え直す必要があるでしょう。
このほか、米不足の今はあまりないかもしれませんが、スーパーに陳列されるお米は原則として精米から1か月で廃棄処分されていました。お米は比較的日持ちする食料ですので、この期限はもう少し伸ばしても良く、精米したお米は必ず消費されるよう制度の改善が必要です。

小規模事業者が貯め込んでいる可能性

先日、備蓄米を納入すべき業者がこれを怠って在庫のお米を転売したという報道がありました。契約事業者が政府への備蓄米の納入を怠ると違約金が発生しますが、違約金を支払ってでも転売した方が利益になるためこうした事件が発生しています。
JAは今の米不足の状況をふまえて在庫の抱え込みを行わず、政府から購入した備蓄米もすべて流通に回す方針のようですが、米は今値上がりしており、在庫を貯め込んで流通量を減少させればまだまだ値上がりしていると考えている事業者が多い状況では、小規模事業者がJAを通さずに直接米を仕入れて貯め込んでいる可能性が否定できません。
あくまで推論の域は出ませんが、こうして、利ざやを増加させるために事業者が通謀せずに各事業者の判断で米を貯め込んでいるとなると、政府の対策も難しく、流通量の回復には時間を要する可能性があります

まだ値上がりする?

このように個々の事業者がお米を貯め込んで流通量を制限する状況の中で、お米の需要は一定量ある以上、少ない供給に対して需要が過剰で、お米はまだまだ値上がりする可能性があります。そうすると、さらに転売目的の事業者が暗躍して、と悪循環に陥る可能性があります。
ただ、お米の買い付けに関しては小規模事業者よりも大手小売店や大手飲食チェーンの方が強いはずで、小規模事業者が農家からの直接の買い付けを強化して流通量を減らすのであれば、大手事業者も黙ってはいないでしょう。政府の対応には時間がかかるでしょうが、こうして市場経済の中で大手事業者がリーダーシップを発揮し、市場を調整できるのであれば、お米の価格の安定は比較的早く進むかも知れず、顧客としてはそれを期待せざるを得ません。

バブルがはじけるまでの我慢比べ

あくまで小規模事業者がお米を貯め込んでいるというのは仮説ですが、もしそうであれば、小規模事業者はリターンの種を抱えると同時に、大変なリスクを抱えていることにもなります。すなわち、お米が貯め込まれている状況から流通量が回復し出すと価格は下がります。そうすると、お米を貯め込んだ事業者はどんどん在庫を吐き出しますので、米の価格のバブルは弾けて大暴落します
小規模事業者は大手事業者のように安定需要先はなく、お米にも販売期限があるため、あまりやり過ぎるとどこかで必ず大損につながります。今はそのリスクを事業者があまり認識していませんが、早晩、こうした状態が発生し、米の価格が一気に回復する時期がやってくると想定されるため、それまでの間、我慢強くお米のやりくりを工夫して待つことが何よりの対策なのかと思います。

まとめ

米の価格上昇は今しばらく続いてその後回復することが見込まれまず。個人的には今回の「令和の米騒動」を受けて、恵方巻のあり方は社会として見直されてほしいと思いますが、今我々ができるのは、お米の消費を減らす地道な取り組みを遂行した上で、政府や市場経済内での犯人捜しと対策がとられるのを待つことかと思います。将来的には国内でのお米の生産を回復し、余った分は海外に輸出できる程度に食糧自給を確保する取り組みが必要と思われます。
当研究所では今回の米不足の騒動のように、不測の事態において、手持ちの条件下で最も有利な戦略は何か、「逆転の一手」を多数考察してきた経験があります。お困り事がありましたら下記よりお気軽にご相談ください。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました