出世を望まない傾向が強まる
頑張って仕事をする理由は、出世して収入を増やすため、とは一昔前までは当然の前提でしたが、今ではそうではありません。出世は希望せず、ただひたすら自身の成長になる仕事だけして、しかるべき時に羽ばたく、という働き方が広まっています。
これは、企業内で出世する事への期待や満足度が減少していることを示していますが、工夫により一定の対応はできます。本稿では、この工夫を紹介したいと思います。
管理職になりたくない理由は部下の育成
最近の社員が昇進を望まない理由は、昇進すればするほど、自身の成長の機会を奪われ、部下の育成に時間をとられるためです。優秀な若手を任せてもらえるのであれば楽しいのかもしれませんが、育成する部下は自分では選べず、無能な部下が来ると自分の時間を無駄に奪われるため、敬遠されがちな業務になっています。
自己の成長のためのコスパ・タイパ
いくらポテンシャルの高い若手でも、自身の成長の機会が無駄に転がっているわけではありません。コスパ・タイパよく成長の機会を集めていかなければ優秀な同期に勝つことはできません。こう考えてしまうと、下手に昇進するなら自分のやりたい仕事に集中できるポジションにとどまるのが賢明だと考えてしまいがちです。
採用時にキャリアプランを見極めよう
この対策は採用と評価で2つあります。まずは採用時にその候補者のキャリアプランを見極めることが大事です。自社を踏み台にさらに高いステップに飛ぼうとしている人材は、いくら優秀でも部下の育成のような、自身の成長の妨げになる業務は嫌います。そこで、能力よりも自社に長く残ってくれそうな人材を多めに集めることで、昇進の敬遠は一定程度回避できます。
コンピテンシー評価を充実させる
人事評価の基準も大切です。売上につながる要素ばかりで評価していると、皆、売上につながる仕事ばかり頑張り、そうでない仕事は敬遠してしまいます。
そこで、コンピテンシー評価、すなわち、結果だけでなくより大きな枠組みで組織の成長に貢献する仕事を評価することが大事になります。これを評価に組み込めば部下の育成が評価対象となり、これを避ける人間は必然と低い評価になりがちです。
まとめ
売手市場の採用活動のパワーバランスは採用後も続いており、せっかく採用した若手に好き勝手やられて、短期で辞められては困ります。そのためには、採用段階でしっかりと人を選ぶとともに、適切な評価基準を設定して、あまり他人がやりたがらない仕事もうまく勧めていく必要があります。
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