知的資産経営の初歩、例えば物価高騰この時期に重宝する資源は?

知財戦略

知的資産経営が流行

企業経営はこれまで有形固定資産の活用が主流でしたが、最近では無形資産の比重が高まっています。それは有形固定資産は使途が明確でリターンも計算しやすい反面で、無形資産は使途が不明瞭だが、嵌れば膨大な収益をもたらし得る点に魅力を感じる経営者が増えているのだと考えられます。
そのような中、「知的資産」に注目した経営が大事であるという考え方が広まっています。そこで本稿ではこの知的資産経営の初歩を、物価高騰に喘ぐ飲食業や小売業を例として解説したいと思います。

「知的資産」とは?

まず「知的資産」の定義が大変です。
法律上の独占権が与えられる特許権や商標権などの「知的財産権」はその一部に過ぎません。他方で「無形資産」という概念もありますが、これは物質的形態を有しない財産全体を指すため、知的資産とは異なります。
「知的資産」の正式な定義はありませんが、知的財産権よりも少し広く、無形資産の中でも少し洗練された財産のことを指すと言われています。例えば、従業員や組織体制、取引先、業務ノウハウなどです。

物価高に困る企業の打開策

飲食業を中心に、原材料高がきつい、という意見をよく聞きます。しかし、回転寿司やスーパーではいつも通りの価格でいつも通りの商品を売っています。この差は何か疑問に思われた方もいるのではないでしょうか?
前者は仕入先が零細事業者であり、単発の契約であるため、どうしても仕入価格が時価になり不安定です。これに対して後者は生産量の豊富な業者と安定供給契約をしているため、不作時にも安定した価格で仕入が可能です。
こうして、安く仕入れられる取引先、安定して仕入れられる取引先などは企業の知的資産であり、契約により長期契約にするなど資産維持に取り組む必要があります。

人的資本も維持が大前提

数年前からよく言われる人的資本ですが、企業は従業員がいなければ成り立たず、熟練従業員がいる時期と、その方が辞めて若い人で埋めた時期とでは企業の組織能力は大きく違います。
サッカーで有名なマンチェスターユナイテッドは契約選手を大事にし、組織の資産とし資産計上する試みを進めています。
人的資本はリスキリング等によって育てるのが必須ですが、その大前提として辞められないことがもっと重要です。ステップアップで出ていく従業員は引き止められませんが、些細な事で従業員が辞めないよう配慮を尽くすことは現代的には必須だと考えられます。

As is から To be の開示を

こうした知的資産経営ですが、現状の開示だけではなく、知的資産をどのように企業価値創出につなげていくかを具体的に開示することが大事だと言われています。
現状の説明だけでは何が価値のある知的資産であるかステークホルダーはわかりません。そのため、何が企業価値に貢献する知的資産であり、どの程度貢献するのか、その知的資産は社内に維持できるのかといった将来情報を積極的に開示することで、金融機関や株主等との相互理解が進み、企業価値の維持・創出につながると考えられています。

まとめ

知的資産はそもそも何がこれに該当するかも、どう活用すれば良いかもわかりにくい資産ですが、現代的には生産機械を活用して生産していれば良いわけではなく、こうした無形の資産も積極的に活用して競合他社との差別化を進めて行く必要があります
当研究所では、知的財産実務経験が豊富で、無形資産ファイナンスを大学院で学んだ弁護士・弁理士・公認会計士・MBAが御社の知的資本経営全般をサポートします。下記よりお気軽にご相談ください。

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